"The mountains are calling..." by JOHN MUIR

【雑記】日本のキャンプ場でもベア・キャニスターの導入はあるのか?

以前、書いた記事(下記にリンク)でベア・キャニスターについて書いたことがあり、基本的に日本ではあまり馴染みがないせいか、アクセス数もあまりありませんでした。が、ここひと月くらい急にアクセス数が伸びてビックリしています。下記にある通りだと思います。

本当は以前の記事に追記する形で何か書こうと思っていましたが、いざ、書き始めると思いの他そこそこの文章量になったので、1本の記事にしました。

ベア・キャニスターって何だ? という方は、下記の記事もあわせて読んで頂くと理解はさらに深まると思います。


小梨平事件

上高地にある小梨平キャンプ場と言えば、僕自身、恐らく20泊近くしていて、今までで1番利用しているキャンプ場だと思います。そこで先日、テント泊中の女性が熊に襲われるという事件がありました。女性は10針も縫う怪我をしたということです。1日も早いご快復をお祈りいたします。

僕が以前ここに泊まった時にも一度、近くで熊の目撃情報があった。と、キャンプ場の人に言われた事があり、その時は、食べ物は必ずテントの中に入れてください。と言われ、その通りにしていたけど、今回の事件でも、食べ物はテントの中に入れていたという。ちなみ南アルプスの某山のキャンプ場でも、同じように言われた事がある。

今回の事件では後日、熊が死んだ状態で発見されたようだけど、誰も幸せにならない終わり方ですね。

果たして、熊対策にこのやり方は正しいのだろうか? と疑問に思ったので、ちょっと僕なりにボーっと考えてみました。

アメリカのキャンプ場では・・・

昨年(2019年)の夏、10日ほどアメリカに旅行して、その内、テント泊が6泊あり、さらにその内3泊はキャンプ場に泊まりました。

アメリカでも日本と同じように熊がいます。しかし、アメリカでは、熊対策はしっかりとしたルールがあり、これは人を守るのと同時に熊を守る為にあるものだといいます。

あくまで僕が経験した、狭い地域の事ですが、実際に見て経験した、アメリカの熊対策について書きます。

まず、アメリカの国立公園内で一泊以上のキャンプをする場合は、国立公園が発行する許可証が必要になります。その許可証を手に入れるには、まず、希望日の168日前にFAX、または専用サイトより予約する必要があります。予約数は人数制限があり、抽選だったり、早い者勝ちだったりします。その後、希望日の前日、または前々日に、パーミットの発行する場所に行き、簡単なレクチャーを受けて、やっと受け取る事ができます。レクチャーでは、その地域の最新情報やキャンプのルールの確認の他に、熊対策についても確認します。(許可証の裏に細かなルールが書かれている)熊対策のところだけザックリ書くと、

  • 一泊以上のテント泊の場合はベア・キャニスター(以下、熊缶)の携行は必須。
  • 食料の他に匂のするもの(香水や化粧品、タバコなど)は熊缶に入れる。
  • 就寝時には食料の入った熊缶をテントから60m以上離す。
  • キャンプ場のような管理地ではベア・ボックス(ベア・コンテナ)に入れる。

ベア・ボックスは頑丈な鉄製で出来ていて、テント数張に1台の割合で設置されています。扉にはロックが掛かるようになっていて、人間には開けられるけど、熊には開けられないようになっています。しかし、ロックが壊れていて、前に大きな石を置いて扉が開かないようにしている台もありました。

実際には熊対策以外にも、色々なルールがありますが、ここは熊さんが主役なので、それはまた別の機会にします。

キャンプをする人全員に対してそのレクチャーを実施します。もの凄い労力だと思いますが、それが人と熊を守る事になります。

アメリカの国立公園の仕組みは、世界一だと言われる所以ゆえんのひとつだと思います。

これは日本の知床半島でも、熊の多い地域(地上遊歩道)に入る時は簡単なレクチャーを受けているのと同じことだと思います。

日本でも、やれば出来るじゃん! それを全国展開すればいいんじゃね?

と思うのは、早計だと思います。日本では本格的な熊対策の導入は難しいと思います。少なくても、今は・・・。

僕の考える理由は以下に・・・。

日本のキャンプ場でベア・キャニスターは使えるのか? と言うか、根付くのか?

日本のキャンプ場で仮にアメリカ式を導入したとする。と言っても、キャンプ場はその形態があまりにも多種多様で、ひとつのルールで縛る事は不可能なので、基本的に歩いてしか辿り着けないキャンプ場とします。

オートキャンプ場のように車がテントに横付け出来るような場合は、就寝時は食料を車の中に置く事はそれほど難しいことでは無いと思う。それでもやらない人はある程度はいそうだけど・・・。

まず、基本のルールで就寝時は食料を熊缶に入れてテントから60m以上離して置く。その時、水辺や崖の近くは避けるようにする。と言うのを日本の山岳キャンプ場でやろうとすると、かなりの危険を犯して熊缶を置きに行かなくてはならない場合が結構ありそうだ。そもそも、日本の山のキャンプ場は、よくこんな所にキャンプ場を作ったよな、的な所が少なくない。熊を避けるためとは言え、そんな危険を犯すのは本末転倒のような気がする。では、キャンプ場の脇にベア・ボックスを置くというのはどうだろう? これも、ただでさえ狭いキャンプ場でそんなもん設置出来るかっ! と言う声が聞こえてきそうだ。それにそんな重くて大きなもんをどうやって運ぶんだ!? 日本のほとんどの山小屋はヘリコプターを使って運ぶ事は(財政的にも)難しいだろう。設置に補助金が出るようになればいいのかもしれないが、そんな事に本腰を入れる政治家がいるとも思えない。じゃあ、就寝時だけ熊缶を山小屋に預けるのはどうだろう? 基本的に日本の山のキャンプ場は山小屋に属している場合が多い。でも、これもやっぱり山小屋の人が真っ先に反対するだろう。ただでさえ夕方や早朝は忙しいのに、これ以上仕事を増やすなっ! と言いそうだ。そりゃそうだ、僕でもそう言うだろう。それに荷物を預かるにはそれなりの責任も発生するし、取り違えが出ないような工夫も必要になる。中には超早朝(1時とか2時)に出発したい人もいるだろう。その人のために誰かが起きていなくてはならないのも大変なことだ。

ってな事を考えていると、やはり日本で熊缶の義務化は難しそうだ。では、自己責任ってことで、個人的に熊缶を使用するのはどうだろう。実は昨年、みちのく潮風トレイルをセクション・ハイクをした時に、JMTの予行練習も兼ねて、熊缶を持っていって使ったがある。しかし、日本のキャンプ場のルールだと食料はテント内に置かなくてはならないらしいけど、そこを敢えて、テントから離した所に熊缶を置いたらどうだろう? でも、これも難しそうだ。そもそも日本人はひとりだけ違う行動をするのを嫌う傾向がある。また、原則論のみが正義で、それ以外を認めない人も多い。キャンプ場の人が食料はテントの中に入れろって言ってんだから、それに逆らうのはけしからん! と考える人がある一定数はいるだろう。キャンプ場でのトラブルの元になりそうだ。

それ以前の話として、熊缶は大きく重い。車やバイクならいざ知らず、歩きの場合は、こんなもん持って歩けるかっ! って意見は多そうな気がする。実際、アメリカでも、あまり評判が良くないと聞く。しかし、熊を守るために、多くの人がそのルールを守っている。今現在は基本的に海外製が多い熊缶だけど、日本で魔改造して軽くてコンパクトにならんのだろうか? サイズも色々選べるとさらに嬉しい。でも、いくらキャンプブームと言っても、日本製の登場は難しいそうだな〜。

そう考えると、日本における熊対策を根本から考え直さなくてはならなさそうだ。つまり新・日本式熊対策だ。

ちなみに、みちのく潮風トレイルでは、熊缶を就寝時にはテントの外には出さずに、(蓋をキチンとして)足元に転がして置いた。ルールは守っている。

どっちが正しいの?

そもそも、熊対策に関しては、日本式が正しいのか? それとも、アメリカ式が正しいのか? と言う事を十分に検証する必要があると思う。熊と一括りにしているけど、その種類は場所によって違いがある。ざっくりと区分すると、日本の本州ではツキノワグマ、北海道ではヒグマ、アメリカの西海岸ではブラックベアとその種類が違う。先日の小梨平では、(恐らく)比較的大人しいとされるツキノワグマだったと思うが、それでもあれだけの被害が出た。熊は熊である。舐めてかかってはいけない。では、それぞれの熊の生態はどうなっているのか・・・、ごめんなさい、これは専門家でもなければ、特に熊の生態に詳しい訳でもないので、分かりません。でも、やはり、熊は熊なので、細心の注意はを怠ってはいけないと思う。

そこで、日本の熊の密集地の知床半島における熊対策について調べてみたら、なんと、ここでは、アメリカ式を採用している。食料は熊缶に入れ、テントから100m以上離せと言っている。(下記のリンクからフードコンテナの所にPDFのリンクがあります)

ではなぜ? 本州以南のキャンプ場では食料をテントの中に入れろ、と言うのか? 大人しいツキノワグマだから、人間がそばに居れば熊が近づいてこない。とでも思っているのだろうか? でも、過去の熊被害の例を考えても、そんな事は無いのは明らかだ。ある意味これはロシアン・ルーレットと同じだ。それぞれのテント内に食料を置いて、果たして熊さんはどの食料を取りに行くのか? いったい、誰が賭けをしているんだ?

結局はこれも自己責任か? いやいや、熊の濃度が濃い地域にキャンプ場を作るということは、やはりそれなりにキャンプ場も有効な熊対策を考えなくてはならないと思う。いや、それはもはや、義務と言っていいだろう。

では、どうすればいいのか? って事になるけど、これでは堂々巡りだ。

やはり熊被害が多く、ノウハウのある北海道の対策を学ぶ事が大切だと思う。これはキャンプ場だけではなく、個人的にも必要なことだ。

僕自身も熊の多い地域でキャンプをする場合は、(日本でも)積極的に熊缶を使用していこうと思っています。結局は自分の身は自分で守れってことですね。それが熊を守ることにもなるし・・・。

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