"The mountains are calling..." by JOHN MUIR

【JMT本編】#05 ジョン・ミューア・トレイル2日目 千の島の湖を越えて

ジョン・ミューア・トレイル2日目 千の島の湖を越えて

4日目(ジョン・ミューア・トレイル2日目)の起床

テント内の温度、14.8℃(午前6時)

6時起床。それほど寝てはいないけど、12時間以上は身体を休ませることが出来たので、それほど疲れは残っていない。頭の中もスッキリしている。

まずは、ベア・キャニスターを回収しに行く。それは小さい沢の対岸の少し上ったところにある大岩の下に置いていた。少し離れてしまえば、どこにあるのか分からなくなる。なので、近くに行くまではあれ? 無くなっている! って思ったけど、近づいてみると、昨日置いたままの姿勢でそこに鎮座していた。

ベア・キャニスターを回収して、簡単な朝食を摂り、テントを回収する。もちろん、蚊は相変わらずだ。虫除けを露出した肌にスプレーする。。。これで多少は防げるだろうと思ったけど、火に油とはこのことである。蚊に虫除けスプレーだ、逃げるどころか、むしろ寄って来てるんじゃね? と思うくらい効果は無かった。

7時30分。今日のコースはしばらく登りばかりなので、ゆっくりと歩き始める。今日の予定は出来ればドノヒュー・パスを越えたいけど、相手は3,300メートルを越える峠だ。そう簡単には行かないだろう。なので、ドノヒュー・パスの手前、ギリギリまでは近づきたい。でも、どのくらいまで近づけるかは分からない。頑張ろう!

トレイルはなかり緩やかに作られている。日本の山、特に◯◯アルプスみたいな急登は一部を除きほとんどない。まぁ、基本的に馬が歩ける必要があるためだろう。なので、標高が高くても、かなり楽に歩ける。そのかわり、距離が伸びるのは仕方のないことだろう。急登をヒーヒー言って登るのも楽しいが、のんびり歩くのも嫌ではない。

たまに立ち止まっては地図で確認する。斜面を大きくつづら折りに進む。この先の峠を越えればガーネット・レイクが見えてくると思う。そこからしばらくは湖三昧になる。なので、今日の景観は湖が主体になるのだろう。楽しみである。

峠まであと少しというところで2人組の若い女性とすれ違う。若い女性とすれ違う時は、Helloとか、MorningよりHi!と言われることが多い気がする。

アメリカの挨拶って?

アメリカでも日本の山と同じように、すれ違う時は挨拶をする。いくつかバリエーションはあるが、基本的(あくまで自分の経験した限りですが)に、「Hello」「Hi」「Morning」「Good Morning」「How are you?」「How’s it going?」なんかがある。意外だったのが「Morning」がかなり遅い時間まで使われていたことだ、イメージ的には「おはよう」なので、午前9時〜10時くらいまでだと思っていたし、私も日本ではそうしていた。けど、たまたま変な人だったのかもしれないけど、午後の2時くらいまで「Morning」を使っていました。

ちなみに「Good afternoon」は2回しか聞きませんでした。

「Hello」「Hi」「Morning」と挨拶された場合は基本的にそのままオウム返しです。相手の目を見て、出来るだけの笑顔で返すようにしていました。まぁ、相手の目を見てと言っても、お互いがサングラスをしていることが多いですが・・・。

「How are you?」「How’s it going」の時はほとんどの場合ほ「Fine! Thank you」と返していました。その後に「And you?」とか「How are you?」「How’s it going」と返せれば良かったんですが、出来ませんでした。というのも、「How are you」という問いに対して「Fine」より「Good」の方が自然だよ、と何かで読んだのを思い出して、「How are you」と言う問いに「Good」で返さなえればと思いつつ、どうしても、条件反射で「Fine」と答えてしまい。その度に、あ〜、また、やっちまった!!! とそれ以上の返しは出来ませんでした。

どうして「Fine」と答えてしまうのか? そうです、完全に中学の英語の授業の後遺症です。なかりの重症です。結局「Good」で返せたのは、わずか数回程度です。どうしても「How are you」と声を掛けられると「Fine Thank you」と無意識で、答えてしまいます。よっぽど集中していなければダメですね。困ったもんです。

こちらから挨拶する場合は、相手が若い人の場合は「Hi」とか「Hello」と声を掛けます。同じくらいの人には「Hello」や「Morning」を使い、歳上には「Good morning」を使いました。ただし、これはあくまで基本で、状況により変えていました。ただし、この使い分けが正しいのかすら分かりません。

宝石の湖へ

斜面を上り切ると眼下にガーネット・レイクが広がっています。かなり標高差があるので、一度大きく下らなくてはなりません。

大きくジグザグ下って、湖水と同じ高さまでくると、湖の湖畔を東側から回り込む。途中何組かのキャンパーさんがテントを撤収していた。あれ? こんな湖の近くでキャンプしていいのか? それとも、シャドウ・レイクの近くだけがダメなのかな?

ガーネット・レイク

湖を回り込んで、小さい橋を渡ると、再び上りになる。大きい斜面をトラバース気味に斜めに登る。そこを上り切ると、左側にルビー・レイク(写真右)があり、少し進むと今度は右側にエメラルド・レイク(写真左)がある。ガーネット、ルビー、エメラルドと宝石名が付いた湖が連続している。

千の島の湖へ

サウザンド・アイランド・レイクが眼下に見えた

エメラルド・レイクを過ぎるとすぐにサウザンド・アイランド・レイクが見えてくる。今までで1番大きそうだ。湖尻にある橋を渡ると分岐がある。そのまま真っ直ぐに進めば良いものを何を勘違いしたのか、左側に曲がってしまった。ちゃんと道標を確認したつもりだったけど、完全なる勘違いだ。いや、そもそもアメリカの道標はチョットクセがある。この道標も見にくい(下の方に明るくした写真添付)けどよく見ると
←JMT→
とある。そして、
←PCT↑
ともある。実はこの道標、トレイルに対して直角、または限りなく直角に設置されている。つまり歩いていると、正面に見えるように設置されている。するとJMTは自分に対して左右方向に通っていることになる。しかし、正確にこの道標を設置するとしたらトレイルに対して、平行に設置する必要がある。すると、JMTは自分に対して前後方向に通っていることになる。そのせいで、勘違いしてしまったと言う訳で、実は後日同じ理由で道間違いを起こしている。学習しろ! オレ!

と言うことで、間違えてルートを外れてしまったわけだが、湖から離れるように進まなければならないところを、湖畔のルートに入ってしまった。もちろん踏み跡はしっかり付いているし、他の人も歩いている、先にはテントが何張りも見えたので、間違いに気付きにくかった。

2度めのルートミス

サウザンド・アイランド・レイクの次のランドマークはアイランド・パスだということは理解していた。パスとあるのでしばらくは登りが続くのかと思っていたら、なかなか登りにならない。そりゃあそうだ、湖畔沿いに歩いているんだからね。だんだんと人影も少なくなり、おかしいな〜と思い始めた頃、やっとGPSで自分の位置を確認する。そこで初めてルートから外れていることに気がついた。慌てて元の(先程の道標のところ)に戻る。途中で、かなりのご高齢で上品そうなご婦人(しかもソロ!)に声を掛けられ、この辺りのテント場はどこにあるのでしょうか? と聞かれる。確かにこの辺りに点々とテントがあるのは見ていたが、改めて、テント場と聞かれると分からない。なので、
「sorry, I don’t know.」
 と答える。答えた後、あっ! と気がつく、こんな時は
「I’m not sure.」
 の方が良かったんじゃね? まただ、大人になって勉強した英語より、反射的に出てくるのは中学時代の英語の方ばかりだ。逆に言えば、中学時代にもっとちゃんとした英語を教えてもらっていれば・・・。分からないと答えつつ、一応は、「あっちでテントを見ましたよ」とは答えておいた。ご婦人は「サンキュー」とは言っていたが、伝わったのだろうか?

分岐まで戻ってきた。約1時間のロスをしたことになる。改めて道標を見て、分かりづれーなコレ! と思ったのは先程の理由から言うまでもない。

これだと分かりづらいので・・・
アップにして明るくしてみた

今度はしっかりと確認して、正しいルートを進む。緩やかな上りが続く。傾斜はそれほどではないけど、このあとかなり長い間上りが続いた。途中で再びお馬さん御一行とすれ違う。今度は馬に荷物がくくりつけられている。ジョン・ミューアが生きていた約150年前も同じように荷物が運ばれていたんだろうな。とちょっとだけ、タイムスリップした気分になった。少し進むと、5〜6人くらいの若者たちのグループが休んでいた。挨拶を交わして追い越す。それにしてもこの上りはいつ終わるんだ? 地図で見ると次のランドマークのアイランド・パスはそれほど離れているようには思えないけど、なかなか着かない。いい加減疲れて、ザックを下ろして休んでいると、今度は先程の若者のグループが私を追い越して、5メートルくらい先でザックを下ろして休み始めた。彼らはすぐに出発するようだ。その中の一人が私に向かって、
「私達が先に出た方がいいよね」
 みたいな事を言ってきた。私の歩くペースが遅いので気を使ってくれたんだと思うけど、やはりこれも意味を理解するのに2呼吸くらい遅れた。すると、あ〜、英語がわからないんだという表情をしてさっさと行ってしまった。瞬時に理解して「Sure, after you.」とは言えなかった。とにかく、相手が言っているのを理解するのに、時間がかかり、自分の話したいことを英語に組み立てるのに時間がかかる。つまり、会話が成り立たない、マンモスレイクスのウェルカムセンターでパーミッションを貰うときに、それなりに会話が成り立ったのは、あらかじめどんなことを言うのかわかっていたので、ある程度は答えを準備することが出来たけど、普通の会話は英語を理解するのに時間が掛かるので会話が成り立ちにくい。反省点でもあると共に今後の英語学習の課題がはっきりした。

アイランド・パス

先程の若者が発ってから、しばらくして自分も歩き始める。サウザンド・アイランド・レイクの分岐から約1時間でアイランド・パスに到着。思ったより時間がかかった、それにほぼ平坦な場所で峠感はまったくない。もちろんその標識も無い。少し前の樹林帯の中の木陰で年季の入ったワンポールテントの脇の倒木に座った仙人のような老人がいたので「Hello」と声を掛けたら、
「ぴ〜〜、し〜〜、てぃ〜〜?」
 と、おもいっきりゆっくり聞いてきた。つまり「パシフィック・クレスト・トレイルを歩いているのか?」と聞いてきたので、
「No, John muir trail」
 と答えたら、
「お〜! じぇい〜〜、えむ〜〜、てぃ〜〜」
 とコレまたゆっくり言ってきた。
その後、
「^&$#)@#&@^)(!」
 と言っていたけど、何を言っているのか全く聞き取れなかった。けど、語調から「がんばれよー」的なことをいっていたのだと思う。
「Thank you!」
 と言って先を急ぐ。

今日の寝床

アイランド・パスから下ると、少し景観が変わる。川が流れ緑の多い景色になる。歩いていても気持ち良い。この辺りでテントを張るのもいいかなって思うけど、明日はドノヒューパス越えが待っている。なるべく距離を稼いでおきたい。

やがてトレイルは上りになる。ペースが落ちつつもゆっくりゆっくり上って行く。先程のアイランドパスで3,100mを越えている。そこから2,950mくらいまで下り、そして、そこから再び3,380mのドノヒューパスまで上り返す。時間的にも体力的にも私の身体がソロソロ休め! と言っている。

ところどころにテント適地があることはあるが、どうもピンとこない。一応、候補地は何ヶ所かチェックして、最悪そこに戻ってこようと目星を付けた。

やがて、小さな小川があったので今晩の水だけは確保しておいた。ついでにその周辺にテントを張れそうなところを探したけど、それらしい場所は無かった。地図を見るとこの辺りにテント適地があるようなので、慎重に探しながら進む。すると、トレイルの脇の大岩を回り込んだところに、テント適用があった。数張り分は張れそうなスペースとキャンプファイヤーの跡もある。トレイルからそれほど離れていないけど、大岩のお陰で、トレイルからは直接見えない。水場も近いので、今夜はここに泊まることに決定!

日陰は無いけど、標高が高いので過ごしやすい

地図で確認すると、ちょうどドノヒュー・パスまで2.7miと書かれた場所だ。日本式だと4kmチョットの距離だ。ここでも標高は3,200m近くある。富士山だと八合目くらいだ。当然、高山病の症状が出ても不思議では無いが、今のところその症状は出ていない。まぁ、マンモス・レイクスでも2,000mを越えていたので、そこから数日掛けてここまで来たから、十分に高度順応が出来たということだろう。

場所が決まれば、早速テントの準備をするところだけど、その前にソーラーパネルの設置をした。(ここで過ちを犯すのだが、この時は気づいていなかった)日本の山の感覚だと、まぁまぁ遅い時間だけど、ここはアメリカだし、緯度は日本とそれほど違わないと思うけど、夏時間のせいなのか、午後の8時半くらいまでは普通に明るい。なので、現地の人もそのくらいの時間まで普通に行動している。日本人の感覚だとテント泊で夜の8時まで行動しているのは、ほとんどの場合はイレギュラーなことが起こったって事だ。まぁ、ここはアメリカだけど、歩くペースや一日の時間配分は日本式を採用させてもらっている。早出早着が基本だ。これがもし、もっと長い距離を歩くようになったら、アメリカ式になっているかも知れないが・・・。

テントを立てて中に転がり込む、やはりここも蚊の大群が激しい。しかし、やらなければならないことが二つある。ひとつは洗濯だ。洗濯と言っても洗剤を使ってゴリゴリやるわけではない。沢に行って、Sea to summitの折り畳みのバケツに水を汲んできて、そこに洗濯物(ズボン、靴下、Tシャツ、パンツ)を入れて、水が飛び出ないようにバケツの口を絞って、振る。ひたすらシャカシャカ、振る。はたして綺麗になっているのかはわからないけれど、中の水を見ると真っ黒になっている。一応、洗濯した気にはなった。でも、その汚れた水を川に返すのは御法度だ。川から十分に離れたところにぶちまける。ある程度手で絞ったら、持ってきた細引を洗濯紐代わりにして干す。この辺りは極端に乾燥しているので、翌朝までには完全に乾きます。ただし、ウールの靴下だけは少し湿っているので、その時は、ザックの最上部にでも入れておけば早い時間に完全に乾きます。ザックの外にぶら下げるのは、落とすリスクが大きいのでやりません。

やらなければならないことのもう一つは食事です。しかし、ここは前日の樹林帯の中よりも蚊がいます。外で食事を摂るのは無理っす! 本当はダメで危険な行為ですが、テント内で摂ることにしました。まぁ、標高3,200mの岩稜帯に熊がいるとは思えないし、、、。何の効果も無いと思いますが、なるべく速く食べました。

今晩の夕食

食事を終えると、先程設置したソーラーパネルを回収する。しかし、ここで、大きな過ちに気がつく。設置した時は、雲一つない空に太陽光が熱いくらいサンサンと降り注いでいて、樹林帯でもないので、影がパネルを遮る心配もないので、パネルを無造作に石の上に置いてしまっていた。ソーラーパネルは太陽光に対して直角に設置した時が1番発電効果が大きいので、今回のように太陽光に対してかなり浅い角度で設置すると、たとえ、太陽光がパネルに当たっていても、発電効果は著しく落ちてしまう。完全に失敗した。100%までもっていけなかった。思ったより発電出来ていない。でも、まぁ、まだ、モバイルバッテリーの中に半分は残っているし、iPhoneケースにもモバイルバッテリーが組み込まれていて、そこにもまだかなり残っている。なので、それほど危機的状況ではないのだが、ちょっとビビった。次からは気をつけよう。

やることを全て終えると、いつものゴロゴロタイムです。と、一応明日の行動の予定を立てます。まずは、スタートしてすぐに、今回のトレイルで1番高い峠のドノヒューパス越えです。あと、4kmほどの距離です。いつもなら、登りだと2時間は掛かると想定する距離ですが、標高が3,000mを越えています。どのぐらい掛かるのか想像も出来ません。しかし、いつもならこのくらいの標高になると必ず出ている高山病の症状(軽い、重いはあります)がまったくありません。それどころか、ここが標高500mっていってもいいくらい身体は快調です。

そこを越えると、一気に下ってライエル・キャニオンです。そして、その先がトゥオルミー・メドウで、そこのキャンプ場が明日の宿泊地の予定です。地図で確認すると約17マイル(約27km)になっています。マイル表示とはいえ、各ポイント間の距離が分かっているので、今までのロングトレイル同様、それぞれ計算して歩くのですが、アメリカも日本も1kmは同じ1kmのハズです。しかし、このマイルをキロに変換した距離がどうも今までの経験とズレているような気がしてなりません。例えば、2マイルの表示があったとして、キロに変換して3.2kmと考えていると、えらく遠く感じたり、また逆に、あれ? もう3.2km歩いたの? と思う時がしばしばありました。実際に1マイルって言っても、常にピッタリということはなく、前後10%の幅があるとすると、1.44〜1.76kmの幅があることになります。実に320mも誤差が生じます。ちなみに、1kmを同じように10%の幅を持たせると誤差が200mになります。まぁ、こんなのは机上の空論で、ただ単にマイル表示に慣れていないだけかもしれませんが・・・。

そんなことを考えスマホを眺めながら、シュラフに潜り込みます。ここでふと面白いことに気が付きました。スマホで保存されている音楽を聞いたり、動画を見たりしている時は気が付きませんでしたが、YoutubeやTwitter等を見ようとすると、寝ていたり座ってスマホを胸の辺りで操作すると圏外になってしまいます。しかし、手を伸ばし、テント内の一番高いところにスマホを持っていくとアンテナが立ちます。つまり、携帯の電波が自分の顔の前辺りを境に、下が圏外、上が圏内という状態になっています。何度やっても同じようになります。この境をここまではっきり認識したことはいままでなかったので、何度も何度もテント内でスマホを上げ下げしていました。そうこうしているうちに、どうやら眠ってしまったようです。さすがにここまで来たら時差ボケより、身体の疲れのほうが勝ったと言うことでしょう。このあとは夜も普通に寝られるようになりました。良かった、良かった。

ルート図

高低図

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