ここ最近は富士山麓にある青木ヶ原樹海にある山ばかり登っています。その理由は単純に面白いからです。以前、とある仕事に就いたせいで登山道の無い山に登る楽しみを知ってしまったのです。それ以来定期的にこのような山に登らなくてはならない身体になってしまったのですwww ある意味、職業病です。
とは言うものの、同じ登山道が無い山でも、この辺りの山は比較的難易度が低く、気楽に登れる山が多いです(気楽と言っても登山初心者が入山することはお勧めしません、僕は特殊な訓練を受けています)。
山行データ
山行日 | 2022年07月23日(土) | ||
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コース | 鳴沢林道終点(スタート)〜片蓋山(1468m)〜鹿の頭(1350m)〜栂尾山(1320m)〜野尻草原〜鳴沢林道終点(ゴール) | ||
山 名 | 片蓋山(1468m) 鹿の頭(1350m) 栂尾山(1320m) | タ グ | |
山 域 | 富士・御坂エリア | 累積標高 | (+−)388m |
歩行距離 | 6.1km | 所要時間 | 3時間48分 |
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マップ
高低グラフ
山行記録
ここ最近、青木ヶ原樹海の山に登っているけど、富士山が見えるのは久しぶりだなぁ。最後まで見えていればいいんだけどなぁ・・・。
鳴沢林道の終点付近に車を停めてスタートです。
ここからゲートのある無名の林道を進みます。
しばらくは林道歩きです。この道のすぐ右側が方蓋山(かたふたやま、かたぶたやま)で、道路のすぐ脇から山が立ち上がっています。
車は今日最初の目的の方蓋山の東側に停めています。この山は他の樹海の山同様、登山道は無いので、地形図を見て比較的楽に登れそうなところから取り付きます。地形図を見る限るどこからでも登れそうですが、南側から登った方が比較的楽そうなので、山の縁に沿って回り込みます。
しばらく進むと木材置き場(?)のようなところがあります。ここを越えると山からどんどん離れてしまうので、この手前から山に取り付きます。特にマーカーのようなものはありません。ただ森に突進します。
するとすぐ目の前に踏み跡がありました。ここから取り付くことにします。
しばらく進むと踏み跡が獣道になり、やがてそれもなくなります。
しかし、山の斜面はそれほど急ではないので、ひたすら上に登っていきます。
あっという間に山の火口の縁まで登れました。この左側が火口になります。あとは富士山のお鉢巡りのように縁を歩いて1番高いところまで進みます。ここは火口の南側で1番高いところは北側にあるので縁沿いにぐるっと回り込みます。
ここはアップダウンもなく歩きやすいですが、踏み跡のようなものは無いので、稜線から外れないように気をつけて進みます。
今回、初登場のInsta360 ONE Rです。RSじゃないです。Rです。決してRSが出たからRを安く手に入れたとかじゃないです。ほとんどの人より早く手に入れていたはずです。
確かONR Rは2020年の1月〜2月頃に発表されたと思います。すぐに予約して実際に手に入れたのは3月頃だったんじゃなかったかな? コロナのバタバタで中国からの発送が遅れたのが原因だったと思います。
世の中がコロナ禍に落ち始めた頃ですよね。そんな中、外出もままならないまま、使う機会を完全に失って、防湿庫に入れらたままになっていました。決して買ったのを忘れていたわけではないです。早く使いたいなぁ〜とは思いつつ、なかなかそのタイミングが合いませんでした。
でも、やっとそのタイミングが来ました。今がその時(どの時?)ですっ!
というわけで、2年以上放置してからの初開封です。まだビニールも剥がしていないので、正真正銘、初開封です。しかも、山に行く前日の夜に・・・。
とりあえず、最低限の設定だけは済ませて、今日の撮影に挑みます。結果、あっさり敗退しました。動画自体は10数本撮ったのですが、ほとんど使い物になりませんでした。かろうじて、このページの下の方にあるパノラマ写真を取り出すことが出来たくらいです。
360度カメラ自体は初めてというわけではなく、以前はRICOHのシータを使っていました。しかし、最近は全然使っていなくてすっかりコツを忘れていました。でも、今回の失敗で学んだ事は多い(はずな)ので、次回以降はちゃんと撮れるでしょう。
話が大きく逸れたので本題に戻します。
ここにも山椒がありました。何故か、樹海の山には山頂付近に必ず山椒がありますね。誰かがわざと植えたんでしょうか?
ここの山の山頂のお鉢の縁は歩きやすいですねー。でも、草が多く、思うようなルートをトレース出来ないので、ルートを外れないように気を付けて進みます。
う〜ん、この辺が1番高そうなんだけど、山頂標のようなものは見当たらないなぁ。ネットで調べた時は木にプレートがあるようだけど・・・
・・・あっ! もしかしてこれが山頂標なのか? 字は全く見えないけど、というか割れてるけど、この辺が1番高いし、他にそれらしいものも無いので、GPSで確認してここが山頂だと断定しました。
展望はありません。木々の間から富士山の一部がかろうじて見えますが、写真で撮ると何が何だか分かりません。
しばらく山頂で遊んで、次は火口を目指します。火口の縁は南側が1番低くなっているので、再び南側に回り込みます。もちろん来た道を戻るのではなく、来た道の反対側の縁に沿って歩きます。しっかりした踏み跡はありませんが、歩きやすいので、気持ちの良い樹林帯の中を進みます。
火口の縁の1番低くなったところから、火口を見下ろします。結構深そうです。しかも、かなり急に見えます。葉っぱが多くて底は見えません。
本当に降りれるのか? ここ?
大室山の火口は緩やかな斜面だし、それほど深さも無く、そもそも底がすぐそこに見えるので簡単に降れますが、ここはかなり雰囲気が違います。
しばらく、火口と地形図を交互に見て悩んだ結果、今回は火口には降りないことにしました。地形図をよく見ると、火口の内側に土崖の記号が書かれています。これがどの程度のものなのか分からないので、今回は見送りました。
どうせ、葉っぱが落ちた頃にもう一度来ようと思っているので、もう少し火口の様子が判った上で降りたいと思います。無理はしません。
そうと決まれば、次の目標の「鹿の頭」に向かいます。面白い名前なのでどんなところなんでしょう?
まずは地形図で方向を確認します。鹿の頭は片蓋山の北西にあります。この2つの山はブリッジ(吊尾根)で繋がっているように見えます(このページのもう少し下に地形図があります)。なので、まずはそのブリッジに向かいます。地形図で確認すると北西に真っ直ぐ下ればブリッジの正面に出るはずです。斜面もそれほど急ではないので、簡単に下れるはずです。楽勝! 楽勝! と思っていたんですが・・・
歩きやすい斜面なので、鼻歌混じりに下っていると足が滑った。とっさに手で支えたので、転倒とまではいかなかったけど、顔面を思いきっり草に突っ込んだ。なんだそれだけかよ? と思うかもしれませんが、写真をよく見るとこの草にはトゲが生えています。ここに顔面を突っ込みました。もちろん、痛かったです。血こそ出なかったものの、ものすげー痛かったです。その、一瞬後、覚えのある香りが鼻腔をくすぐりました。
知っている人は写真を見て気付いたでしょう。そうです、これは山椒です。山椒といえば、すでに粉になっているものしか知らない人も多いと思いますが、アレの正体はこれです。もう少し経つとこれに実が付きます(始めは緑ですが、やがて真っ赤になります)。それを乾燥させてすりつぶせば見慣れた粉山椒になります。
山椒は葉っぱもあの独特の香りがします。軽く指先で葉を揉んで匂いを嗅ぐと、あの刺激的な匂いを楽しむことが出来ます。しかも、日本の山では普通に自生しています(地域によると思いますが関東近辺だとよく目にします)。気付かずに通り過ぎている人も多いでしょう。あんまり強く葉を揉むと、葉がダメになってしまいますが、軽く揉む程度でも十分香りを楽しむことが出来ます。見かけたら試してみてください。ただし、葉を揉むときはトゲに気をつけてください。
山椒の木の見分け方は、小さい葉が茎を挟んで左右対になって付いています(写真参照)。一度見つけることが出来れば、それ以降は簡単に見分けられるようになります。ただし、この葉っぱにそっくりで犬山椒というものもあります。本当に見た目もそっくりで僕自身何度騙されたか分かりません。見分け方は色々あるんですが、一番簡単なのは匂いです。匂いを嗅げば一発で分かります。犬山椒の方はあの山椒独特の香りがありません。
余談なんですが、今日(7月23日)は土用の丑の日です。もちろん、夕食はうなぎでした。山椒もたっぷり掛けて美味しくいただきました。
野いちごがありました。樹海の中で見るのは初めてです。もっとも、いつもはもっと寒い時期に入ることが多いので、気が付かなかっただけかもしれませんが。。。
ちなみに南側の斜面でも見ましたが、こっちはまだ緑色でした。西側の斜面では赤くなっていました。微妙に環境が違うのかな?
あっ! ギンリョウソウだ! って思ったけどなんか違うような・・・。じゃあ、ギンリョウソウ・・・モドキ、ですか、あなたは?
下り始めてまぁまぁ時間が経った。あれ? 距離的にも時間的にもそろそろブリッジに着くと思うんだけどなぁ・・・まだかなぁ・・・と、思いGPSで確認する。すると驚愕の事実が発覚する。
全然違う方に向かっているじゃん・・・。
西側の斜面は比較的歩きやすく、特にコンパスなどで方向を確認することもなくテキトーに降っていたら、ルートから大きく外れてしまいました。紫の線が実際に歩いたルートで、青い矢印が向かうべき方向です。北西に向かうはずが、南西に向かっている。人間の感覚なんて当てにならないですね。これが葉っぱの少ない季節なら、隣のピークも見えるだろうからルートを外すことは無いと思うけど、この季節は遠景は全く見えません。なので、本来ならコンパスを使用すべきだけど、広く、歩きやすい斜面だったので、テキトーに下ってしまった。とはいうものの、本来のルートに戻るのも楽なので、それほど気にはしていません。
GPSで確認して、大きくルートを外れているのを確認出来ました。しかし、高さはブリッジの入り口とほぼ同じ高さなので、等高線沿いに北に進めばちょうどブリッジの入り口に出るはずです。しかし、山の斜面には等高線が書かれているわけもなく、いくら歩きやすい斜面とはいっても、この等高線に沿って歩くのにはちょっとしたコツが必要です。
人間はこのような不整地を歩く時は無意識のうちに楽に歩けるコースを取りがちです。自分は水平に歩いているつもりでも、知らず知らずのうちに下っています。まぁ、マメにGPSで確認して進めばいいのでしょが、それも面倒です。なので、僕は少し水平に歩いたら今度は斜面の上に向かって歩きます。そこで再び水平に歩いて、再び上に向かいます。つまり、水平、上、水平、上とジグザグに進むようにしています。そうして歩いたのが、この地形図の紫線です。ほぼ等高線沿いに進んでいると思います。実際にはかなり斜め上に向かって歩いていて、ちょっと登りすぎたかな? って思うくらいがちょうどよさそうです。
下ってきた斜面を見上げています。僕には今回のように登山道の無い斜面を下る時に気を付けていることがあります。もし、急な斜面が出てきた時は、そこを安全に下れるか? ではなくて、もし、そこを下っても確実に登り返せるかを考えています。なので、頻繁に下ってきた斜面を振り返って確認するのが癖になっています。万が一ルートを外れても元の場所に戻ることが出来れば、最悪の状況にはなりにくいと思います。
ちょっと見にくいですが、ちょうどブリッジの正面に出ました。
ブリッジを越えて、少し進むとすぐに目の前が開けます。そこを少し進むと山頂のように1番高いところに出ました。あれ? ここは?
GPSで確認したらここが鹿の頭でした。
鹿の頭で振り向くと正面に、片蓋山がドドーンと見えます。
鹿の頭には山頂標やマーカーのようなものは一切無く、直射日光で暑いのでサッサと下ります。
日影に入ると冷たい風が吹いて気持ち良いです。
あとは下るだけなので、ここで昼食にします。今日は思いっきり手を抜いて、コンビニ冷やし中華です。山専ボトルには氷水が入っています。
腹ごしらえもしたし、あとはここを下って野尻草原を通って車に戻るだけです。斜面は片蓋山以上に緩やかなので、再びテキトーに下ります。
この山の北側には遊歩道が通っているようです。なので、どこから下ってもそこにぶつかるので、安心して下ります。
鞍部まで下りました。あっという間でした。思っていたほど明確な遊歩道はありませんでしたが、なんとなく踏み跡があったので、そこを進もうとしたとき、ふと、そういえばこの先にも無名のピーク(国土地理院の地図には山名はありませんでした)があることを思い出しました。というか、鞍部まで下った後、正面に山が立ち上がっているのが見えたので、とりあえず、取り付きを探してみて見上げたところ、あれ? ここって簡単に登れそうじゃん。と思い、予定を変更して、無名のピークに取り付きました。
あっという間に山の上に出ました。取り付きから10分程度でした。この山は双耳峰になっいるので、とりあえず南側のピークを探します。というか、よく見たらここが1番高いです。なのでGPSで確認すると・・・
・・・ここが南峰でした。
南峰から北峰へはほとんどアップダウンはありません。しかし。ヤブがすごいです。両手で掻き分けるように進むこと数分・・・
・・・急に目の前が開けました。ここが北峰?
ピンクテープや・・・
・・・測量用の杭もあります。
しかし、山頂標のようなものは見当たりませ・・・
・・・あっ! 何だこれは? このプレートには
「山名は国交省富士砂防事ム所HPによる」
とある。山名って??? あっ! もしや・・・
・・・と思い、プレートを引っくり返してみたら、
「栂尾山 北峰 1320米」
やぱりここが山頂だ。しかも、栂尾(ツガオ)山と言うらしい、北峰とあるが、やはり南峰にもこのようなプレートはあるのだろうか? 気が付かなかった。次回来た時は探してみよう。
右側の木の向こう側に富士山が見えるはずだけど、今日は雲に隠れてしまっている。
とはいうものの、よくよく考えると、ここも富士山の一部なんだよねー。
栂尾山は予定外だったけど、探索し甲斐がありそうな山だと思いました。別の季節にも登ってみようと思ってます。
栂尾山から北側に一気に下ったら朽ちた車がある。あっ! これは、この辺りのことを調べている時に見たことがある。そうか、ここにあったのか〜、ってか何でこんなところにあるの? ここまで自分で走ってきたの? それとも誰かがここまで担いできたの?
さすがに車があるってことは、車が通れる道があるってことでしょう。なので、かなりしっかりしている遊歩道に出ました。あとはここを進めば・・・って思ったけど、野尻草原に出るにはこの後遊歩道を外れなくてはならないなりません。でも、そのルートは草で覆われて全然分かりません! なので、あとはテキトーに野尻草原の中心辺りを目指して草をかき分けて進みます。しばらく進むと何となく踏み跡のようなところが断続的に見えてきました。そこからさらに進むと・・・
・・・急に目の前が開けました。確かに草原というだけあって草っパラが広がっています。
視線を移すと、先程登っていた片蓋山が見えた。
前回登った大室山も見えます。この山はでかい。
この辺の山は、通常の日本の山のようにひとつひとつの山の形が分からない、なんてことはなく、ひとつひとつの山が分離しているので、それぞれの山のカタチが分かりやすいです。
以下の写真はInsta360 ONE Rで撮影したパノラマ写真です。今回は見えませんでしたが、富士山を正面に見て立つと、大室山は背中側になります。そして、右側には今回登った3つの山が見えます。
ところでこの野尻草原、なぜ、草原のままなのでしょう??? 通常日本の気候では放っておけば自然に森になるはずです(実際に周りは森になっています)。例外として箱根の仙石原のようにずっとススキ野原の状態でいる場所もありますが、あそこは野焼き等をして人間が遷移(荒れ地→草原→森のように移っていくこと)をコントロールしていますし、尾瀬のような場所はそもそも地面の質が違いますよね。なので、特別な理由がない限り、このような場所は森になっていくのが自然なはずです。でも、ここの一角は草原のままです。なぜでしょう?
考えられるとすれば、まだこの辺の土壌が若くて森に遷移しきれていないだけ? でも、なぜここだけ? 地形図を見ても、新しい溶岩が流れたような痕跡は見られないし・・・不思議です。
いつかこの草原の縁をグルっと回ってみたいですね。
草原を歩いているとやがて車道にでました。とい言っても、実際には一般車両は通れないみたですけど・・・。
あとは舗装された道を進むだけです。晴れていれば正面に富士山が見えるはずです。ここまで来れば楽勝! って思ったけど、日陰がほとんど無く、舗装路からの照り返しがきついので体力はどんどん奪われていきます。しかも、ここは富士山の一部です。富士山に向かっているってことは山頂に向かって登っているってことです。ある意味、富士登山です。
もし、ゲーム画面のようにライフメーターを見ることが出来れば、残りはあと1ピクセルくらいしか無いでしょうwww
残りあと1ピクセルをなんとか温存して進みます。車を止めている場所(P)に最短で進むには、青い矢印のところをショートカットルートに入れば最短で戻ることが出来ます。でも、地形図で見ると、こちらのほうが傾斜が急に見えます。
一瞬、考えましたが、より傾斜の緩やかな舗装路を進むことにしました(赤い三角)。距離的には少し遠回りになりますが、急がば回れ(いいわけ)です。
ショートカットルートと再び合流して少し進むとゲートがあります。ここを越えると・・・
・・・鳴沢林道の終点と合流で、ここがゴールです。
スタート時には見えていた富士山はすっかり雲に隠れてしまいました。
あっ! そういえば今日も誰とも会わなかった。目の前の富士山には数千人の人が取り付いているんだろうにね・・・。