『聖骸布血盟』〈上・下〉 フリア・ナバロ著 を読んで

「聖骸布」が保管されているトリノ聖堂で火災が発生し、その跡から舌の無い男の焼死体が発見される。
その数年前、同所で逮捕された男も舌が無く指紋も全て焼き消されていた。
主人公である美術品特捜部部長マルコはこの二つの事件は「聖骸布」で繋がっていると睨み捜査を開始する。

「聖骸布」とはイエス・キリストが十字架に架けられた後その遺体を包んだとされる布で、その表面には腕を前に組んだ男性の像がうっすら浮かんでいる。その手や体には鞭打ちや磔刑の時についたと思われる生々しい傷跡が付いていることからイエス・キリストの遺体を包んだ「亜麻布」だと信じられてきたが、最近の科学調査では13世紀前後に製造された布だと言われているが、いまだに解けていない謎があるもの確かである。

この物語はその「聖骸布」の謎にスポットを当て、イエス・キリストを包んだ後から現在に至るまでの謎解きと、実際に起こった「聖骸布」を保管している聖堂が過去3度も火災にあってなお奇跡的に逃れられたという事実を上手くミックスして壮大な物語を作り上げている。

この物語は特別な知識が無くても楽しめると思う、それというもの特に海外の人たちのキリストに対する知識とわれわれ日本人の知識とでは明らかな違いがあるが、この物語はキリスト教になじみの無い人にも理解しやすいようにキリストが十字架に架けられる少し前から物語が始まっている。それは聖書の福音書にあるような視点とは少し違い、当時のキリストの奇跡を信じる男の視線(もちろん『マタイ』『マルコ』『ルカ』『ヨハネ』も信じる人たちなのだが・・・その者達とは一歩引いたような目線)で始まり「聖骸布」にまつわる一族、組織の視線に移り、現代に繋がっていく。また、この流れとは別に前述した美術品特捜部の捜査やそれにまつわる人々の奮闘も描かれやがてこの2つの流れはひとつになっていく。

個人的には結構好きな展開だけど、、、最後がすっきりしないままで終わってしまうのはちょっとNGですね。。。それを差し引いたとしても歴史ミステリー物が好きという方は十分に楽しめると思います。

秋の夜長にぜひ・・・!

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