第3回ロングトレイルシンポジウム

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第3回ロングトレイルシンポジウム

第3回ロングトレイルシンポジウムに行ってきました。過去2回の主催は「日本ロングトレイル協議会」という任意団体でしたが、今回からはNPO団体に昇格(?)して「日本ロングトレイル協会」となってからは初めてのシンポジウムになります。加盟トレイルは2016年2月20日時点で18団体となっています。近いうちには30団体くらいになると言っていました。楽しみですね〜。

以下には自分が気になった講演に関して簡単な概要と感想を書いていきたいと思います。

目次

第3回ロングトレイルシンポジウム(2016年2月20日)

以下が今回のプログラムです。

【プログラム】(敬称略)
 ご挨拶
   特定非営利活動法人 日本ロングトレイル協会 会長 節田 重節
   公益財団法人 安藤スポーツ・食文化振興財団 理事長 安藤 宏基
   長野県観光部長 吉澤 猛
 特別講演 「青少年教育とロングトレイル」
   文部科学省初等中等教育局児童生徒課長 坪田 知宏

 記念講演(1)  「スペインの巡礼街道を歩く」
   公益社団法人 日本山岳会副会長 大久保 春美
 記念講演(2) 「ロングトレイルを旅する」
   バックパッカー・作家 シェルパ斉藤
 提言 「日本ロングトレイル協会の果たすべき役割と使命」
   特定非営利活動法人 日本ロングトレイル協会 代表理事 中村 達
 提唱 「全国「山の日」第一回上高地での開催について」
   松本市商工観光部部長、山の日記念大会推進室長 加藤 銀次郎
 報告
   (1)国東半島峯道ロングトレイル
   (2)北根室ランチウェイ
   (3)山陰海岸ジオパークトレイル
   (4)奥津軽トレイル
   (5)金沢トレイル
 日本ロングトレイル協会からの報告
   特定非営利活動法人 日本ロングトレイル協会 理事・事務局長 村田 浩道
   (NPO 法人高島トレイルクラブ 代表理事)

特別講演→青少年教育とロングトレイル

文科省で青少年のいじめや不登校問題に取り組んでいる方の講演でした。それがなんでロングトレイル? と思いますが、自然体験活動を通しての教育的効果に関してのデータを上げて語られていました。

確かに私が持っている某自然体験活動系の資格でも数年前に、小中学校における自然体験活動を指導するための追加講習を行いました。

自然の中での活動が人格形成において効果がある、のはデータからも間違い無いようで、その自然体験活動の一環としてロングトレイルを利用しようと考えられているようです。特にその宿泊期間が長ければ長いほどのその効果は上がるそうです。スルーハイクなどは数日間を要しますし、(トレイルによりますが・・・)自分たちでテントを立て、自分たちで食事を作るというのは都会の生活ではなかなか体験出来ないようなことなので子供達にいい影響を与えそうですね。もし学校単位でロングトレイルに誘致することが出来れば、その地域にまとまったお金が落ちることになるでしょうし、その地域への認知度も一気に上がると思いますが、いかんせんそのためのインフラがほとんど整っていないというのが現実のようですが・・・。

記念講演→スペインの巡礼街道を歩く

最近この「スペインの巡礼街道」という文字をアチラコチラで見るようになったのは私の気のせいでしょうか? それとも歩く方が増えているということでしょうか?

今回の講演では日本山岳会の副会長さんが歩かれた時のことをお話しされていました。もし、これからこのトレイルを歩こうと考えている方にとっては、実際に役に立つ情報が満載だったので貴重なお話しだったと思います。

記念講演→ロングトレイルを旅する

ご存知、シェルパ斉藤さんによる講演です。私自身この方の著書を何冊も読んでいますし、実際に歩かれたルートを真似して歩いたこともあります(詳しくはコチラ→)。

今回の内容はシェルパ斉藤さんの過去の歩く旅に関してお話しされていました。確かにシェルパ斉藤さんはロングトレイルのイメージよりは歩く旅のイメージが強いですよね。流石にこのような講演に慣れていて、テンポもよく、聴きやすく、お話しも面白かったです。最後にロングトレイルを作るにあたって(ロングトレイルの管理団体の方が多く出席しているので)管理団体の方に言われたことが特に印象に残りました。それは、各トレイルがそれぞれの特色を出してもらいたい、そして若い人たちが誇りを持って歩けるようなトレイルを作って下さい、とおっしゃっていました。確かに、現在は登山の第一線から退いた方が歩くようなイメージが多少なりともある日本のロングトレイルですが、歩く旅を通じて得られることは多いと思います。沢山の若い人たちがかっこよく、そして泥臭く歩けるようなトレイルが多く作られれば良いと思いました。

提言→日本ロングトレイル協会の果たすべき役割と使命

実は「ロングトレイル」という言葉は(2003年8月2日付で)商標登録されています。日清食品ホールディングス株式会社がその権利を持っています。なぜ? 日清食品? と思うかもしれませんが、日本ロングトレイル協会のサイトを見ていただければ何となく察しがつくと思うので詳しくは書きませんが・・・。それじゃあ、勝手に使えないじゃん、って思うかも知れませんが、この言葉は自由に使って良いことになっています。同時期に複数のところから申請があったようですが、日清食品さんが取得してくれたおかげで自由に使うことが出来ます。ロングトレイルを歩く時にはチキンラーメンを食べましょう・・・。

タイトルに「日本ロングトレイル協会の果たすべき役割と使命」とありますが、実は日本ロングトレイル協会は各トレイルの認定というのは行っていないんだそうです。まぁ、これだけの長い距離を全て調査するなんて不可能ですよね。なので、基準だけを決めてあとは各トレイルに任せているらしいです。じゃあ、日本ロングトレイル協会は何をやっているのかというと、情報、啓発のネットワークということだそうです。とは言うものの、歩く方の立場から言わせて頂ければ、各トレイルのレベルをある程度は統一化して欲しいと思いますが・・・。

以下が現在計画中のトレイルの一覧です。実際にはこれより多くあると思いますし、あれ? あそこは入っていないの? とか、ここはほとんど出来てるんじゃないの? とかはありますが、今後色々と増えて行くのは楽しみですね・・・。ただし、某お役所が作った道のようにならないことを祈っていますが・・・。

 ・山形ロングトレイル
 ・苗場山を中心とした分水嶺
 ・佐渡島
 ・谷川岳山麓
 ・甲斐国ロングトレイル
 ・余呉湖トレイル
 ・比良・比叡
 ・伊豆
 ・かめおか里山トレイル
 ・ダイヤモンドトレイル
 ・淡路島
 ・四国山地
 ・由布院

 最後に、日本ロングトレイル協会のサイトには管理団体の定義はありますが、トレイルの定義は以下のようになるようです。

 日本ロングトレイル協会トレイルの定義
 ・山旅の道
 ・距離の定義はないが、少なくともスルーハイクに3日以上かかる
 ・自然豊かなルートであること
 ・春夏秋冬歩くことができる
 ・地域の活性化に資すること
 ・地域観光の活性化に寄与できること

報告→国東半島峯道ロングトレイル

実は今一番歩きたいロングトレイルがここなんですが、いかんせん交通の便が悪いのと情報が少なくてなかなか実行に移せないトレイルです。今回の報告を聞いてさらに歩きたくなりました。でも、往復の時間を入れれば一週間くらいは必要そうだけど、これだけまとまった時間を取るのはかなり難しいんだよな〜・・・。

報告→北根室ランチウェイ

昨年歩いてきました(詳しくはコチラ→)。でも、天気がイマイチだったのでチャンスがあれば再び歩きたいですね・・・。

今後は、周りに3つの国立公園(知床国立公園、阿寒国立公園、釧路湿原国立公園)と、3つの空港(中標津空港、女満別空港、釧路空港)があるのでそれらを絡めたルートを想定しているようです。どんなルートになるのかは想像も出来ませんが楽しみです。

報告→山陰海岸ジオパークトレイル

こちらも昨年歩いてきました(詳しくはコチラ→)。

今後はルートを東の方に伸ばして京都まで繋がるようです。全て繋がれば現在の3〜4倍くらいの距離になりそうです。

報告→奥津軽トレイル

ここは、今年の夏に行く予定でした。このシンポジウムが終わったら飛行機、宿の予約を取るつもりでいましたが、今回のお話しを聞いて急遽中止です。と言うのも、今回の報告を聞くまではコースが3ヶ所しかなかったので、2日もあれば全て歩けるだろうと計画していましたが、いつの間にかコースが8ヶ所になっていて、総距離が117kmとなっていました。この奥津軽トレイルは他のトレイルと違って各コースが繋がっていなくてそれぞれのコースが陸奥半島に点在しています。なので、スタート地点までは車で行き、コースを往復して再びスタート地点まで戻って来る必要があります(交通の便が悪いのでゴールからスタート地点に戻るのは公共交通ではほぼ無理)。というか、そのように考えて計画していました。つまり、実際に歩く距離は2倍になるというわけです。さすがに200km超を2日で歩くことは出来ません。もう一度計画を立て直して仕切りなおしです。

報告→金沢トレイル

とにかく担当者が明るい方です。それまでは金沢トレイルの存在は知っていましたが、特に気にもしていませんでしたが、今回のお話しを聞いて俄然興味を持ちました。以前ブログにも書きましたが、ロングトレイルは作る人のカラーが反映されていると思うので、いつか歩いてみようと思っています。

最後に・・・

日本版ロングトレイルが今後どうなって行くのか楽しみでもあり、実はいっときの流行りで終わってしまうのではないかという気持ちも無いわけではありません。ロングトレイル協会のトレイルの定義もにもあるように「地域観光の活性化に寄与できること」これが一番難しいと思います。今のところ成功するのには作る人、歩く人、その地域の人の3者が笑顔になる必要がありますが、全てを満たしているロングトレイルは皆無です。強いて成功しているのは日本では四国お遍路くらいです。なんて思っていましたが、今回シェルパ斉藤さんのお話しを聞いているうちに、ロングトレイルではなく歩く旅というふうに少し視点をずらすと、今までよりさらに面白くなってくるような気がしました。確かに日本人は江戸時代などは盛んに歩く旅が行われてきました。というか車や電車は無いので歩くしかなかったんですが・・・。しかも、その資料を読んでいると、ただ目的地を盲目的に目指すのではなく、その道中も楽しんでいる様子が描かれていたりします。今後自分の歩く旅を十分に楽しむためのキーワードのような気がしました。

最後になりますが、シェルパ斉藤さんがアパラチアン・トレイルのくだりで加藤則芳さんのお名前を出されていました。私自身加藤さんからロングトレイルのお話しを聞いて強く興味を抱いたということもあり、また、日本のロングトレイルを語る上でこの方を忘れるわけにはいかないので、少し身が引き締まる思いと共に、自分自身がもっと楽しまなきゃいけないな、という思いを強くしました。

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