女性登山家がまだ珍しかった時代、二人の男性登山家(蜂屋、木暮)に追従するように登攀している一人の女性(千穂)がいた。その二人の男生と一人の女性はパーティーを組み、互いの住所も聞かないまま山を下りる。その後、偶然にも蜂屋の同僚の女性(美根子)が山で撮影した写真を見て、この女性(千穂)は自分の高校の同級生だと分かり、二人の男生と一人の女性は再び出会う。
やがて二人の男生は千穂に好意を寄せ、それぞれ自分なりの方法で気持ちを伝えようとするが、過去においての千穂と美根子との因縁がそれを邪魔するようになる。
二人の男生は山男としての道理を通そうとして、千穂を山に誘い求婚しようとする。
果たして千穂はどちらの求婚を受けるのか・・・?
まぁ、一言で言ってしまうと、二人の男と二人の女の四角関係の物語なのだが、時代のせいなのか? 新田次郎の恋愛観なのか? は分からないが、ずいぶんと現代とは違って見えるのだが、これは仕方のないことなのか? もっとも、作品の半分くらいは新田次郎お得意の山岳小説になっているから、そっちからの視点で見れば、結構楽しめると思う。
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