『氷壁』 井上靖(著)を読んで

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切れるはずのない小阪乙彦のザイルが切れた。そのときザイルのもう一方に繋がっていた魚津恭太に疑いがかかる。彼は親友を失った悲しみの中ザイルが切れた原因を探ろうとするが、その実験結果もまたザイルが切れることはありえないということだった。はたしてその真相は・・・?

今年の初めにNHKのドラマをやっていて見ようかなと思っている間にいつの間にか始まってしまい、気づいたら最終話になってしまい、結局それしか見ることが出来なかったのだけど、何となく頭に引っかかっていたので読んでみた。原作とはかなり異なる部分も多く原作では前穂高で事故に遭うのに対し、TVではK2になっていたり、各キャラクターの設定も微妙に違っていたりもする。

TV版は最終話しか見ていないのではっきりとは言えないけど、TV版の方がより恋愛色が強くなっているように思われた。小説版は確かに矢代美那子も重要なキャラクターとして登場するのだけれど、一見ドロドロの恋愛話に落ちていきそうなところを山男の2人のキャラクターたちの存在のおかげでチンケな恋愛モノにならずに済んでいるように思われた。そのあたりがこの小説を高評価されている一因ではないだろうか。

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