『奇談』 行川渉・諸星大二郎著 を読んで

広告

主人公の佐伯里美は大学の民俗学研究室に所属する大学院生。子供の頃神隠しに遭い記憶を失っていたが、偶然『東北の隠れキリシタン考』という本を見て自分は渡戸<わたらど>村に住んでいたことを思い出し、東北の「隠れキリシタンの里」に向かう。そこで学会を追放された異端の考古学者・稗田礼二郎と出会う。二人はこの村の歴史を調べ始めたがそんな矢先十字架に張り付けにされた男の死体が発見される。その男の身元は「はなれ」と呼ばれる村人が忌み嫌う村のさらに置くにある地域の出身者であった。と同時に里美が神隠しに遭った時一緒にいた新吉という少年が当時の姿そのままで現れた。

  • 村に伝えられた伝説と「はなれ」の役割とは?
  • 十六年前に神隠しにあった少年がなぜ当時の姿のままで現れたのか?
  • なぜ里美は神隠しに遭って戻ってこれたのか?

いろいろな謎がやがて明かされていく・・・。

これを読んだとき真っ先に思い浮かんだのは青森県戸来村(現在は合併して新郷村になっている)にある「キリストの墓」だった。なんの偶然か知らないがほんの一月半ほど前にここに行ってきた(詳細はこちら)。この戸来村もかなり山奥にあり、いまは道路が整備されているので十和田市内から1時間もかからずに行けるのだが、昔はそこまで行くのはかなり大変だっと思う。そんなわけでこの本に出てくる渡戸村と青森県の戸来村は自分の中でかなりの部分オーバーラップしている。原作は読んでいないが恐らく作者も青森県の「キリストの墓」から何らかのヒントを得てこの物語を書いたのではないだろうか…。

(注)この本は映画『奇談』のノベライズ本で原作は諸星 大二郎氏の「生命の木」です。

広告

  • URLをコピーしました!
目次