『沈黙』 遠藤周作(著)を読んで

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まだ幕府がキリスト教を弾圧していた頃、日本人の信徒に救いを与えるためポルトガルの司祭ロドリゴは日本に潜入した。しかし、そこで見たものは彼の師である宣教師(先に日本に来ていた)が幕府の弾圧に負けて転んで(改宗)しまったということだった。始めはなぜ、彼ほどの人物が弾圧に負けてしまったのか? ロドリゴには理解出来なかったが、やがて自分も囚われの身となってしまう。ロドリゴもまた師同様に幕府の弾圧に負け転んでしまうのか・・・?

幕府側の人間としてイノウエという人物が登場するが、それがピラトと対比されていたりと、作品内の随所で聖書の中のエピソードとオーバーラップするところがあり、その辺は面白く読むことが出来た。なので、この本を読む人は聖書の有名なエピソードは知っておいた方が面白く読めると思う。特に最後にロドリゴが・・・するところなどは思わずニヤリとしてしまった。

ロドリゴは始終主との対話を試みるが、結局はタイトルの通り、主は『沈黙』を守り続ける。しかしその『沈黙』をロドリゴが勝手に解釈するさまは滑稽でもあるのだが、読み進んでいく内に逆にその『沈黙』の意味を深く考えさせられてしまうのは私だけではないだろう・・・。

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