『青春を山に賭けて』 植村直己(著)を読んで

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野口健さんが影響を受けたと言うことで、興味を持ち読んでみた。もちろん植村直己という人がどんなことをして、何をやろうとして、どうなったか(遭難のニュースもリアルタイムではっきりと覚えている)、ぐらいは知っていたが、直接著書を読んだのは今回が初めてだ。以前映画になった『植村直己物語』(タイムリーなことに昨日、WOWOWで放送されていた)は観ていたので、なんとなく自分の中で植村直己像は出来上がっていたのだが、今作を読んでみて、自分の中の植村直己像は大きく崩れ去った。

植村さんはことあるごとに、

「自分は山登りしか出来ない男だ」

というようなことを言っているが、それはとんでもなく的外れなことで、この人ほどの冒険家は世界中探しても見つかりそうも無いと思う。とにかく、ひたすら純粋なのだ。これほど純粋な冒険家は果たしてこの世に二人と存在するのだろうか??? 時にはこの純粋さが人を傷つけることもあるが、逆に植村直己という人物に癒されてもいるような気がする。そうでもなければ、(外国の)言葉もしゃべれないどこの誰かもわからない人物に、世界中の人々が協力はしてくれなかっただろう。

こういう人が書いた本なので着飾ったり誇張したりするような部分は無く、ひたすら自分の体験したこと、思ったこと、感じたことを書いているので、ストレートに心に響くのではないだろうか?

この本が自分とって座右の一冊に加わるのは間違いないだろう。辛いとき、苦しいときに読めば、きっと大きなパワーがもらえるような気がする。

最後に、この本を読んでどうしてもこの人が死んだとは思えない。まだ、どこかで記憶でも無くして生きているような気がしてならないのは私だけではないと思う。もしかしたらあと数十年後、数百年後にマッキンリーの雪の下で発見されるかもしれないが、それまでは彼はどこかで生きている。ということにしておこう・・・。

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