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屋久島4日目。縦走の3日目になります。
今日は九州地方の最高峰の宮之浦岳に向かいます。スタート時は雨でしたが、次第に青空が見え始め、宮之浦岳の山頂に着く頃には最高のロケーションになっていました。
山行データ
山行日 | 2009年06月17日(水)~2009年06月23日(火) | ||
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コース | 1日目(羽田~鹿児島~屋久島~海楽園キャンプ場) 2日目(海楽園キャンプ場~楠川歩道(縦走スタート)~白谷雲水峡~白谷山荘) 3日目(白谷山荘~楠川分れ~トロッコ道~大株歩道~ウィルソン株~縄文杉~新高塚小屋) 4日目(新高塚小屋~宮之浦岳~永田岳~鹿之沢小屋) 5日目(鹿之沢小屋~花山歩道~大川の滝(縦走ゴール)~屋久島青少年旅行村(栗生)) 6日目(屋久島青少年旅行村(栗生)~安房) 7日目(安房~屋久島空港~鹿児島~羽田) | ||
山 名 | 宮之浦岳(1936m) 永田岳(1886m) | タ グ | |
山 域 | 九州エリア | 累積標高 | 縦走1日目:(+)944m (-)-144m 縦走2日目:(+)1,086m (-)-453m 縦走3日目:(+)851m (-)-755m 縦走4日目:(+)383m (-)-1,934m |
歩行距離 | 縦走1日目:9.102km 縦走2日目:11.9852km 縦走3日目:7.659km 縦走4日目:16.217km | 所要時間 | 縦走1日目:05時間11分 縦走2日目:06時間23分 縦走3日目:06時間46分 縦走4日目:08時間20分 |
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縦走記(4日目)
【06時52分】 |
6時起床 まだ、雨は降っていた。 寝不足で殆ど食欲もないが、無理やり棒ラーメンを流し込む。 まだ半乾きのレインウェアを着込んで外に出ると、雨は小降りになっていた。まだ小屋には半数くらいの人がいたが、自分は早々に出発する。 |
【06時52分】 |
新高塚小屋のトイレ。ひとつしかないので、人が沢山来たときは大変そうだ・・・。 |
【06時59分】 |
小屋を出てすぐにヒメシャラのオレンジの幹が目立つようになる。滑らかな樹皮が雨に濡れていっそうツルツルに見える。 |
【07時11分】 |
まだこの辺りの登山道は整備されている。 |
【07時13分】 |
寝不足とは言え、十分に休んだ体は調子がいい。少なくても写真を撮る余裕はある・・・。 |
【07時44分】 |
雨は次第に小降りになった、というよりも雨雲を突き抜けたといった方が正解かもしれない。しかし、まだ太陽は現れない。展望台と呼ばれるところでも、視界は真っ白で何も見えなかった。 |
屋久島は雨が多いし、水場も多い、しかも沢の水を直接飲むことが出来るので、水は最小限だけ持っていけばよい。と思っていたが、実際はそう単純なものでもなかった。確かに、縄文杉まではわりと水場もあった。というより、ほとんどトロッコ道なので、あまり水を持たなくてもそれほど困らないが、標高が高くなると、運動量が増える代わりに沢が少なくなる。よって水場は減少する。登山地図では数箇所水場の記載があったので、そこを期待していたが、立ち入り禁止になっていたり、枯れていたり、表記の場所には水場らしきものは見当たらないなんていうケースもあった。プラティパスの水筒に予備の水を入れてくればよかったなんて思っても後の祭りである。 標高が高くなって雨雲を突き抜けてしまい、そこから上は完全にピーカンの空が広がっていた。気温は一気に上昇し、レインウェアを脱ぎザックとレインカバーの間に押し込む。 |
【08時20分】 |
樹林帯を抜けると笹原の大地が広がる。そこにはかなりのヤクシカがいた。 |
【08時21分】 |
少しづつ青空が見えてきた。と同時に沢山の虹が出ていた。 |
【08時39分】 |
どんどん視界は晴れてきて、時折薄いガスの間から青空が見えるようになると、湿度の関係だろうか、あちらこちらに薄い虹が見える。ちょうどブロッケン現象の周りに出来る虹のようだ。もしかしてと思い、手を大きく振ってみたがブロッケン現象は起きなかった。もっと太陽が低い位置で真横から照らしていれば、ガスに自分の姿が映ったかも知れない。 |
【08時44分】 |
出発して1時間程歩くと視界が徐々に開けてきた。大きな奇岩がゴロゴロした笹の草原のようなところに出る。ここには沢山のヤクシカが懸命に笹を食べていた。自分が気がついただけでも10匹以上はいたように思う。 |
【09時00分】 |
やがて、視界は完全に開け、宮之浦岳も見えるようになる。それと同時に最後の登りがかなり大変なように見えた。 |
【09時52分】 |
宮之浦岳登頂。頂上には3人ほど人がいた。とりあえず写真を撮り、一番大きな岩の上に立つと、360度の大パノラマが広がっていた。標高があまり高くないせいか雲海は足元すぐに広がっていた。遠くに目を移すと沢山の島が見える。種子島はなんとなく分かったが他の島はよく分からなかった。 ここでしばらく休憩、同時に濡れていたレインウェアとザックカバーを広げる。日差しが強かったのであっという間に乾いた。 |
【09時55分】 |
山頂からの風景。雲海が広がっている。あの下はきっと雨なのだろう・・・。 |
【10時06分】 |
山頂から永田岳方面の展望。雲海の向こうに青い海といくつかの島々が見えた。 |
【10時15分】 |
今日はさらに永田岳を経て鹿之沢小屋までいく予定なので、カロリーメイトを食べて、20分ほどボーっとしてから永田岳を目指した。自分がちょうど山頂を後にするときに一人の男性が登ってきた。
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一度焼野の分岐まで戻り永田岳を目指す。すぐに身軽そうなカッコ(もちろんちゃんとした山のカッコではあるが)の男性が追い越して行った。聞くと日帰りで永田岳をピストンするらしい。やっぱり身軽だと速いなぁ・・・と思ういながら彼を見送った。この頃には持ってきていた水が殆ど無くなってしまった。地図では焼野の分岐付近に水場のマークが描いてある。しかし、しばらく探すも発見出来ず。この先、小屋までは後一箇所しか水場のマークはない。しかも、その水場も必ずある保障もないので、ちょっと途方に暮れてしまった。こうなれば適当な沢で調達するしかないが、山頂付近なので沢もあまり多くはない。あとは運を天に任せるしかない。 焼野の分岐からあるくことしばらく、遠く下の方には沢があるが、笹が密集していてとてもそこまでたどり着けそうにない。あきらめかけていたとき、足元に細い水の流れを発見。さすがに登山道上にある水は飲む気がしないので、ちょっと登山道を離れて水の流れを遡って地面からチョロチョロと出ているところを発見して、そこに水筒を置く。チョロチョロとしか流れていないので時間はかかったが、とりあえず500mlは確保した。登山地図に書かれていた水場は登山道に対して右側にあるようだが。ここは左側だ。おそらく地図に書かれている水場ではないだろう。一ヶ所右側にそれらしい場所があったことはあったが、数メートル下にあってそこまでは笹が密集しているので、近づくのは容易ではない。それでも水がないのは困るので無理して水のある場所まで降りようとしたけれど、笹で見えなくなっていた崖に落ちそうになってしまったため、あっけなく撤退していた。とりあえず500mlの水を大切に鹿之沢小屋までもたせるしかない。 永田岳の山頂直下はかなりの急登の連続だ。ヒィヒィ言いながら山頂まであと少しのところでさっき追い越して行った人が降りてきた。 最後の最後で大きな岩が立ちふさがっていた。ロープを頼りによじ登り、12時、永田岳登頂。宮之浦岳から2時間かかったことになる。標準タイムは1時間10分なので、水を探していたとはいえだいぶスローペースだ。 永田岳の山頂は狭く、高度感もあるので、写真だけ撮ったらすぐに撤退する。大きな岩を再びロープを頼りに降りる。この場合は登りよりも下りの方が怖い。あとで気がついたが山頂直下に鹿之沢小屋への分岐があるので、そこにザックをデポして山頂に向かえばよかった。20kg近い荷物を背負ってでの岩登りは大変だ。 |
【12時02分】 |
永田岳登頂!山頂には大きな岩があった。 |
【12時16分】 |
無事に山頂直下から降りてきたら、鹿之沢小屋へ向かう。 |
【12時51分】 |
しばらくは笹原の中の急坂を下って行く。途中、ローソク岩なる奇岩がある。たしかに火が灯ったローソクそっくりだ。 |
【12時52分】 |
笹原の向こうに雲海が広がり抜群の展望だ。 |
【13時01分】 |
雲海の中から岩の峰が浮いて見える。まるでラピュタの世界だ。 |
【13時07分】 |
永田岳から1時間ほど下ると、ロープを頼りに岩を下るところにきた。ここを下ると突然樹林帯の中に入る。ここからはしばらく急な下りが続く。 |
【13時27分】 |
樹林帯の中の急な坂を下ること20分で鹿之沢小屋に到着。 |
人の気配の無い小屋のドアをそっと開けると、少しかび臭かった。とは言っても白谷山荘に比べると100分の1程度の臭さだけど。とりあえずドアを全開にして中の空気を入れ替る。 小屋の中は左右に大きな2段ベッドを置いたようになっている。1段毎に5~6人は寝れそうなので全部で20~25人くらいは楽に泊まれそうだ。さて今日はどこに寝ようかと思って下を覗いたり上に上ったりした。上の段は小さな窓が付いているが熱い空気がこもっていてめっちゃ熱い。なので、自分は入り口を入って左側の下の段で寝ることにした。 そうと決まれば、ザックの中身をすべて取り出し、湿っているものを色んな所に干す、干す、干す。着替えも後はパンツが1枚だけで、他のものはすべて湿った状態でスタッフバッグの中に詰め込んでいたので、ここぞとばかり、広げまくる。天気はまだ快晴で程よく風もあるので、湿った靴などは小屋の前のよく日の当たるところに置いておく。 小屋を出たついでにトイレの場所を確認しようと表示板の言うとおり進んでみるが、トイレなんてないじゃん! と思い一度小屋に戻る。濡れた物を一通り干すと、今度はウェットティッシュで体を拭く。ちょっとスッキリしたが、気が付けば髪の毛をもう4日も洗っていない。一応、「水のいらないシャンプー」を使っていたが、それでも気持ち悪い。そうだ! と思い。裏の水場に向かう。そこで水だけで頭を洗う。ちょっとはスッキリとはするがシャンプーが使えないのがちょっと残念だけど、仕方ないこれで満足としよう。 |
【14時16分】 |
今日の寝床。ここぞとばかり湿ったものを広げた。 |
小屋に戻って、その他のザックの中身を確認していたら、突然「こんにちわ」と人が入ってきたので、ちょっとビックリした。今日は誰も来ないだろうと思っていたので、なおさらビックリだ。とりあえずこちらも挨拶をして、ザックの中身の点検を続けていた。と、どうしてもトイレの事が気になって仕方がなかったので、再び小屋を出て、トイレを探しに向かう。同室の彼は黙々と荷物を広げていた。トイレがなかなか無い。というか遠い。小屋の前を抜けて木道を進むと、小さな沢がある。そこを渡って、足場が彫られた大きな岩を登り、足元の悪いところを通り過ぎてやっとトイレがある。えらい遠い。雨が降ってたりすると、とてもじゃないが我慢してしまいそうだ。それに、足元も悪いのでビーサンで歩くのはちょっとつらい、出来れば登山靴をしっかりと履きたい。 |
【18時25分】 |
小屋から50メートルくらい離れているトイレ。 |
夜中にトイレに行くのは大変だ、明るいうちに済ませておかないと駄目だな。などと思いつつ小屋に帰って同室の彼に、 と声をかけたら、 アジア人だからパッと見みは日本人に見えてしまうので、普通に日本語で話しかけてしまった。というか、さっき「コンニチワ」って言ってたジャン。とか思ったけど、結局この香港の人は日本語はほとんどNGみたいで、翌日の夕方まで何度か一緒になり会話をしたが、結局このときの「コンニチワ」以外の日本語を聞くことはなかった。 とりあえず英語で話しているので、手振り身振りを交えて知っている英単語を駆使してトイレは遠くにあることを伝えた。なんとか伝わったようだ。 これは困った。自慢じゃないが、英語なんて話せるわけもない。どうやってコミュニケーションを取ればいいんだろうと不安に思ったが。唯一の安心材料は彼からはあまり話をしてこないので、こっちが話しかけなければ向こうから話かけてこない。というか最初の会話で私の英語力を知った為に話しかけられなくなったんだと思うが・・・。 それでも、二人でずっと黙っているわけにも行かない。というか気まずいったらありゃしないので、自分の知っている英単語を駆使して話してみる。 などと、英単語だけでもなんとなんとかなるもんだ。とは言うものの複雑なことは聞けずに結局、二ヶ月前に日本に来て、屋久島の次は沖縄に行く。ということくらいしかこの日は分からなかった。 そんなことを話していたら、天気が崩れてきた。さっきまで青空が見えていたが、今はすっかり白いガスに包まれてしまった。外に干していたものを慌てて小屋の中に入れる。 それでも雨は降り出さなかったので早めに夕食を食べて、明るい内にトイレを済ませて、シュラフに戻る。 外が明るくてもドアを閉めてしまうと本も読めないので、iPodを聞きながら寝る。 日が暮れた頃、夕べの悪夢が再び、また、ネズミが小屋の中をカツカツと走り回っている。またかよっって思ったが、今日は夕べと違ってちゃんと食べ物を一つのスタッフバッグに詰めてネズミが攻撃できないような所にぶら下げてあったので、ネズミはすぐにあきらめたようだ。足音はすぐにしなくなった。 香港の彼はすぐにいびきをかいていた。自分もこの日は早く寝ることが出来た。 |