先日、コンパスを紹介したので今回は地図です。当然ですが、通常この2つは一緒に使います。コンパスだけを使うことは基本的にほとんどありません。しかし、この2つを使用して正確に自分の位置を割り出すのは初心者にとっては簡単なことではないです。なので、本来ならばここでバシッと私が解説してやる! と言いたいところですが、その解説だけで本が一冊書けてしまえるような分量なので、コンパスの時と同様に文末に参考書を紹介しておきます。もっともそれ以前に、私自身もまだまだ修行中の身なので、人に教えるなんてことは出来ないですが・・・。
通常、コンパスと地図を使用する際には、地図に磁北線を入れるのが基本です。磁北線はコンパスの時に簡単に説明しているので、ここでは詳しくは解説しませんが、ようは、地図の北とコンパスの指す北がずれているので、それを補正するために、磁北線を引く必要がある。ということです。わたしも、某講習で地図に磁北線を引くことしましたが、結構メンドクサイです。自分の持っている全ての地形図に磁北線を引くなんて、面倒なのでやってられるかぁ!!! と思ってやっていませんでした。しかし、最近、YouTubeで非常に簡単に磁北線を引く方法を解説している動画を見つけたので、ここで紹介させて頂きます。一度見れば二度と忘れないくらいというくらい簡単なので、磁北線の引き方を知らない方は一見の価値有りです。
昭文社 山と高原地図
昭文社の山と高原地図です。毎年4月頃にその年の最新版が出ます。基本的に前年とあまり変わらないことも多いですが、数年に一度の割合で山域毎に再調査をしているようで、微妙に変わってたりもします。数年前まで実線(一般ルート)だったのが、最新版では破線(バリエーションルート)になってたりすることもあります。使用する時は最新版を参照するのが理想ですが、毎年買い換えるのは「モッタイナイ」ので、自分のホームグラウンド(私の場合は丹沢です)は毎年最新版にしていますが、それ以外の山域は一度買ったら滅多に買い換えません。そのかわり、最新情報はネットや雑誌などで得るようにしています。また、山と高原地図のサイトにも最新情報が出ています。
この他にいくつかの登山用の地図がありますが、この「山と高原地図」シリーズが一番人気があるように思います。私も山登りを始めた頃からずっとこのシリーズを使用しています。
私の場合は実際に山で広げることはあまりありません。もちろんどの山行にも装備はしていますが、どちらかと言うとコースを決める為の参考に使うことがほとんどです。この地図にはコースタイムが書かれているので、慣れてくれば自分の体力に合わせて、大体コースタイムの何パーセントで移動が可能かというのが分かるようになってきます。しかし、山域毎に調査員が違うために大きく予定が狂うこともあるので初めての山域は注意が必要だと思います。先に山で広げることはあまり無い、と書きましたが、ほとんどの場合は計画時にある程度コースを頭に入れているし、ほとんどのコースの場合は指導標があるので、あまり迷うことはありません。ただし、思い込みとか極稀に指導標が変な方向を向いていたりすることもあるので、ちょっとでもおかしいと思ったら、すぐに地図を広げて確認するようにしています。
国土地理院発行 2万五千分の1地形図
上記の「山と高原地図」は山登りに特化していて、登山道やコースタイム、危険箇所、山小屋、水場等山登りに必要な情報が書かれていますが、この地形図は一部登山道も書いてありますが、基本的に(特に山岳地域では)等高線と地図記号の塊です。なので、見るにはちょっと慣れが必要です。しかし、「山と高原地図」は縮尺が5万分の1ですが、この地形図は2万五千分の1です(もちろん5万分の1の地形図もありますが、通常山登りで使用するのは2万五千分の1です)。単純に2倍の大きさです。この大きさならば、かなり入り組んだ尾根も識別出来ます。しかし、逆に同じ大きさの地図の場合は面積で4分の1しか表示されなくなるために、長期縦走の場合は数枚の地図を持ち歩かなくてはいけないので、ちょっと面倒です。
基本的に、この地図を持っていくときは一般ルート以外のコースを歩く場合です。その場合でもぶっつけ本番で歩くことはありません。事前によく地図とニラメッコをして、通るルートの候補をいくつか考えておきます。また、絶対に通るポイントも決定しておきます。もし、そこにたどりつけなかった時の場合のエスケープルートも考えておきます。しかし、実際に現場に行ってみると、自分が思い描いていた地形じゃ無い場合も多々あります、それは単純に自分の読図力が無い場合がほとんどですが、稀に、地図には出ていない崖が出てくることもあります。山(特に丹沢)は年々形を変えています。なので、一般ルート意外のコースを歩く場合は十分に注意が必要です。
数年前からですが、この国土地理院発行の2万五千分の1地形図はリニューアルしています。と言っても、内容は常に最新のに順次置き換わっていますが、今回はサイズが変わりました。全地域一斉では無いと思うんですが、順次新しいサイズの地図が出ているようです。ここでいうサイズとは紙のサイズではないです。紙のサイズは以前と同じ、460mm × 580mmですが、今回のリニューアル版は余白が少なくなっています。その結果、地図の面積が以前のものより大きくなっています。以前高尾山の地図は登山口と山頂が別の地図になっていたため、2枚持ち歩かなくてならなかったようですが、新しい地図だと1枚で済むようになりました。
地図が大きくなったのはうれしいのですが、弊害として折りたたんだときは以前より大きくなってしまいました。左が以前の地図で、右が新しい地図です。紙のサイズが同じなのだからなんでこうなるんだ? と思う人もいるかも知れませんが、通常山登りをする人は自分が見やすいように折りたたんでいます。折りたたみ方も人によって違いますが、私の場合はまず余白を裏に折り曲げて、それから縦に4分割して、最後に真ん中から2つ折りにしています。余談ですが、私の場合は折るときにキレイに折りません。見かけは汚いですが微妙に折り目をずらしています。なぜかと言うと、キレイに折ってしまうと手袋をしていたり寒さで手がかじかんでいたりすると、開きにくくなるのでわざと折り目を少しずらしています。(余談終了)最初に余白を折るので、新しい地図は余白を除いた地図の部分が大きくなったせいで、結果的に大きくなってしまいます。地図が大きくなったのは嬉しいですが、以前同じように折って書棚に並べていた場所に新しい地図が入らないのはちょっと困っています。
最後ですが、この地図は大きい本屋さんや、山道具屋、アウトドアショップなどで購入することが出来ます。また、国土地理院のサイトでも閲覧することが出来ます(国土地理院 地図閲覧サービス(地理院地図))。自宅にプリンタがある場合はここから必要な部分だけプリントアウトして持ち歩くことも出来ます。ただし、使用時は規約に注意して下さい。
ISUKA(イスカ) マップケース
主にこのマップケースは自分でPCからプリントアウトした地図を持っていく為に使用しています。「山と高原地図」や「国土地理院発行 2万五千分の1地形図」は入らないことはないとは思いますが、収納時には巻物のようにクルクルするので、そのままでは入れにくいと思います。なので、コピーしたり、プリントアウトしたA4用紙を入れるのが良いと思います。
ただし、このマップケースは防水性が無いのでプリントアウトした用紙は通常水にはとても弱いので、一度ジップロックに入れてから収納するようにしています。これならば、少々の雨でも濡れることは無いと思います。
私は前述した国土地理院の「地理院地図」を使用することはあまりなくて、「カシミール3D」というソフトを使うことが多いです。このソフトを使うと緯度・経度や磁北線を引く事が出来るので、コンパスやGPSと組み合わせて使用するときはとても便利です。
左の画像はちょっと見にくいですが、地図に緯度・経度の線を入れています。GPSで緯度・経度を確認し、この地図に照らし合わせるとかなり正確に自分の位置を割り出す事が出来ます。また、数回しかやったことはないですが、「カシミール3D」でルートを設定して、それをGPS側に転送しておいた際に、そのルートを一緒にプリントアウトして持っていくと、万が一の場合に安心です。