『聖母マリア再臨の日』〈上・下〉 アーヴィング ウォーレス著 を読んで

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1958年フランスの田舎町ルルドで、少女ベルナデット(ベルナデッタとも記述するが翻訳本に記述に従う)の前に聖母マリアが現れた。以降、この少女の前に18回にもわたって姿を現したといわれる。そして、その間に聖母マリアは少女ベルナデットに3つの予言を与えた。

1つ目は第1次世界大戦の終了と第2次世界大戦の勃発
2つ目はロシアの台頭とその脅威
3つ目はの予言とは・・・

物語はヴァチカンがこの3つ目の予言を公表するところから始まる。その予言とは
『聖母マリアがこの地(ルルド)に再び現れる』
そのニュースを聞いて世界中のいろいろな事情を背負った人々がルルドに集まりだし、聖母マリアの奇跡を祈った。

はじめにお断りしておきますが、この作品の出版は1984年であったため、2000年5月に実際にローマ法王庁の行った3つ目の予言の公開(一部の公開と言われている)を作者は知らなかったはずです(知ってたらそれだけで小説が1本書けてしまう・・・)。なので、この辺は事実とは違います。ちなみに3つ目の予言とは1981年の法王暗殺未遂をさすと言われています。が、真実はまだ闇の中のようです・・・・・

『信仰』というのがこの本のひとつのテーマだと思う、まぁ、最終的には信じるものは救われるということなんですが、我々日本人(俺だけ?)にとっての『信仰』というものはキリスト教社会の『信仰』とはだいぶ違うような気がします。

キリスト教の『信仰』は唯一神のみを信仰の対象(プロテスタントとカトリックは少々解釈が違うようですが・・・)にするのに対し、我々日本人は古来より万物に神が宿ると言われているので自然と『信仰』対象は普段の生活に根付いたものになっています。まぁ、どちらがどうと言うことでもないですが、この本を読んでいて『信仰』というモノを少々考えてしまいました。

この本はキリスト教への信仰がテーマだと前述しましたが、立場によってその信仰の形がまちまちだということが、この本を面白くさせていると思います。ただひたすらに聖母マリアの再臨と奇跡を信じて祈るものもいれば、むしろを1958年の聖母マリアの出現自体に疑問を抱きベルナデットの正体を突き止めようとする者もいて、ストーリーがダレることなく最後まで一気に読めてしまいます。

ただし、この本の作家は『イエスの古文書』と同じ作者だが、どうも最後の締めが『イエスの古文書』同様あっさりしすぎてるように感じました。最後にもうひとつ「あっ」と言わせる仕掛けがほしかったかな・・・。

それにしても、またキリスト教関係だ。別に狙っているわけでも意識しているわけでもないが、書店で面白そうなタイトルを手に取るとたまたまそれがキリスト教関係だったということだけど、はてさてこの流れはいつまで続くのやら・・・。ちなみに次回読む予定の本も・・・。

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