昨シーズンまで使用していた冬用のジャケット(Marvel Peak[PHENIX]のDIAPLEX製のジャケット)の裏地がボロボロになって白い粉のようなもの出てきて使えなくなってしまったので、新しい冬用のジャケットを探していました。で、結局、紆余曲折があり今回紹介するfinetrack EVERBREATH ARMA(ファイントラック エバーブレス アルマ)を購入しました。個人的にはDIAPLEX製のジャケットを気に入っていて、2着持っているのですが、最初に購入したものはもう7年くらい経っています。でも、いまだに現役で使えるんですが、さすがにかなり色褪せてきてしまいました。2着目は冒頭に書いたように裏地がボロボロになってしまったので、使い物になりません。出来れば新しいDIAPLEX製のジャケットを購入したいところですが、すでに新しいモデルではDIAPLEXは使用されていません。なので、今回新たに購入し直そうとした時にまずGORE-TEX製のジャケットを考えましたが、とても高い、そしてGORE-TEX特有のゴワゴワが嫌、と言うことで早々に却下! 色々と検討した結果、値段が比較的安いこのモデルを購入するにいたりました。ちなみにfinetorack製のウェアはこれで4着目になります。特別気に入っている訳ではないですが、注目しているメーカーであるのは間違い無いです。
まだ一回しか登山で使用していないので、あくまでファースト・インプレッションということでご理解下さい。また、私自身もGORE-TEX特のジャケットを着用したことが無いのでそれと比較することは出来ません。あくまで私自身が感じたことや思ったことを記述しているだけです。なので、絶対的な評価では無いということも合わせてご理解下さい。
finetrack EVERBREATH ARMA(ファイントラック エバーブレス アルマ)
購入のきっかけは前述しているので省略するとして、なぜ? 赤なの? ということから・・・。色は赤の他に青、緑、黒の4色がありますが、黒は何となくイメージじゃないのでパスとして、青と緑はちょっと鮮やかすぎるのでコレもパス。で、最後に残ったのが赤でしたが、これも実はあまり気に入っている色じゃないですね。本当はもっとくすんだ赤で、臙脂(えんじ)系の色が好きなんですが、コレばっかりはある色から選ばなくてはならないので、消去法で赤になりました。また、レインウェアも同じfinetrack製でエバーブレスフォトンを持っていてこれも赤なので、それも選んだ理由のひとつですね。色はフォトンの赤とほぼ同じ色なので、山行中に何度となくレインウェアを着ている錯覚に囚われましたwww。
まぁ、私が何の色を選んだかなんてどうでもいいことなので、話を進めます。このジャケットの特徴はページの下の方に公式サイトへのリンクを貼ってあるので、そちらを参照してもらうとして、このページでは公式サイトでは解りづらいと思うようなことを捕捉すると共に私が実際に着用して感じたことを書いていきます。あくまで現段階ではまだ一回しか山で着用していないので、今後長く使用していたら意見が変わるかもしれません。なので、その時は追記という形でフォローしていこうと思います。
まず、このジャケットをパッと見て特徴的なものはやはり胸ポケットだと思います。これがあるために内ポケットはありません。公式サイトではGPSや無線を収納することが出来るとあります。フラップ部分の上部は無線のマイクを取り付けることが出来るように少し固い素材が使われています。なので、クリップとかで挟みやすくなっています。ポケット自体はそれほど大きくなく、私が実際に山で使用しているGPS(GARMIN GPSmap 60CSx)を入れてみると写真にあるようにかなりはみ出ます。でも、フラップを閉めれば落ちることは無いと思います。ちなみに、ポケットの高さはiPhone5とほぼ同じです。なのでiPhone5がギリギリ入ります。
でも、このポケットには重大な問題があります。その辺の実際に使ってみて使いにくいと感じた所は最後にまとめて書くので、そちらを参照してください。
次に、冬山では結構大事なフードですが、フィッティングは基本的に後頭部にあるドローコード一本で調整します。この辺は好き嫌いが分かれるところだと思います。個人的にはもう少し微調整出来た方が良いのですが、実際に使用してみると思っていたよりフィットしたのでこれはこれでいいのかな・・・と思っています。また、大きさはヘルメットをしていても被れるくらいの大きさはあります。その時のフィット感に関してはまだ試していないので分かりません。
前の部分(フロントチャックを全部閉めた時に口元辺りにくる)に中国人のヒゲ(イメージです)のようなドローコードが左右に2本出ています。これは全部チャックを閉めた時の開口部を調整します。ノーマルの状態でチャックを上まで閉じると鼻が隠れるくらいの高さまできます。厳冬期でゴーグルなどをしている時に肌の露出(実際にはバラクラバ(目出し帽)をしているでしょうけど)する部分を調整することが出来ます。と言っても実際に使用してみると、まだ慣れていないせいか、うまく調整できませんでした。
その効果がどれほどのものかは分かりませんが、フードの内側に辺りの音がよく聞こえるようにと穴が開いています。ここでひとつ気がついたことがあります。(右側の写真参照)フードをかぶっていて右側の耳のところにくる穴がシームテープで半分ふさがれていました。もちろん、そういう仕様ではないと思います。不良品ですね。まだ出来たばかりのfinetrackの品質管理能力があまり高く無いのでしょう。よくみるとその他にも糸がほつれていたりするところもあります。購入を予定している人はよく確認してから購入したほうが良いと思います。今回は基本機能に問題があるようなことでもないので、エラーコインならぬ、エラージャケットということで楽しんでいますが、こんなことが続くとメーカーの信頼は落ちてゆくことでしょう・・・。
finetrackの最大の特徴が5レイヤーの提唱にあると思います。基本的には山登りでは、インナー、ミドルウェア、アウターの3レイヤーが基本ですが、finetrackではさらに2レイヤーをプラスして、5レイヤーを提唱しています。理屈は分からないでもないですが、個人的にはかなり懐疑的ですね・・・。まず、5枚もウェアを重ねたらウザイと思います。finetrackではこのアウターに関しては「異次元ストレッチ」と称して伸縮性のある生地が使われていることを強調していて、動きを妨げないとしていますが、体型というのは人それぞれです。なので、同じLサイズでもゆったり着ている人と、ぴっちり着ている人がいます。ぴっちり着ている人なんかは伸縮性のある生地だからといって動きにくくなることは想像に難しくありませんよね。また、この伸縮性というのは公式サイトに小さく書いていますが、横方向にしか伸びません。広告等では袖の部分をギューッと伸ばしている映像がありますが、確かにあのように伸びますが、普通の人ではあのような映像を見せられると縦横に自在に伸び縮みするものだと勘違いしてしまう人も多いと思います。なので、ここでもう一度ハッキリ書いておきますが、横方向にしか伸びません。でも、だからといって普通に着用していて窮屈感はありません。身体を激しく捻った時なんかもこの横方向ストレッチのお陰でツッパリ感などは無いです。これはレインウェアのエバーブレスフォトンでも同じことが言えます。フォトンの方は同じサイズでも少しスリムなデザインですが、このアルマは多少ゆったり気味に作られています。まぁ、冬山で使うことを想定しているので当たり前ですね・・・。
前述したfinetrackの5レイヤーシリーズの特徴で、脇腹にあるベンチレーターが内部に着るミドルウェアのベンチレーターと同じ位置にあるために内部の温度(湿度)調整がしやすくなっていますが、これは(当たり前ですが)同じfinetrackのウェアを着用している時にか有効ではありません。だからと言って5レイヤー全てfinetrack製で揃えるとビックリするくらい高価なシステムになります。今回購入したジャケットこそ他のメーカーより購入しやすい価格になっていますが、その他はかなり高価です。某芸能人のように汗をお札で拭くような人は一式購入なんてことも出来るでしょうが、私の場合は・・・。なので、時間をかけてでも、一度は5レイヤーを試してみたいですが、いつの事になるのやら・・・。
このベンチレーターにも問題がありました。詳細は文末に・・・。
このジャケットには冬山仕様ということでスノースカートが付いています。ジャケットの裾から雪や風の侵入を防ぐ役割がありますが、これも実際には使用していないのでその効果は分かりません。ただ、使用していない時は邪魔になるようなことは無かったということだけは付しておきます。
袖口の部分はあまり特徴はなく、普通のマジックテープで締めるようになっています。グローブの落下防止のためのループもありません。まぁ、普通の袖口ってことですね。それにしてもこの袖口のマジックテープは他にもっと優れたシステムはないんですかね? マジックテープが特別悪いというわけではないんですが、もっと使いやすく出来ると思うんですが・・・。
最後になりますが、肝心の透湿性に関しての感想を書きます。冒頭でも言っている通り、私自身GORE-TEX特のジャケットを着用したことはないですし、このジャケットに関しても山ではまだ一回しか使用していません。でも、その一回の山行は体感温度はマイナス10度以下で、風も強く、急登の場面が多かったので大汗をかいていたので、このジャケットのテストということではまぁまぁのシチュエーションだったかな? と思います。もっとも、雪山で使うのが理想なんですが、それは次の機会にということで・・・。その時の内部のウェアに関してはベースレイヤーとして、finetrackのフラッドラッシュスキンメッシュを着用して、その上にウールのインナーと透湿性のあるミドルウェアを着用していました。で、結果、ウェア内のムレは最小限だったと思います。しかし、うまくベンチレーターを使えなかった(詳細は文末)せいで、ミドルウェアは汗でびっしょりになっていました。まぁ、いくら透湿性とは言っても、100%の湿度が抜けていくことは無いので、こんなもんなんじゃないでしょうか。ベンチレーターがちゃんと使えていたらもう少し快適だったと思います。ただし、腕の部分に関してはムレ感はゼロでした。腕はそもそもそんなに汗をかくところじゃないので、効果的に湿度が調節出来たためだと思います。という事は汗をあまりかかない人は全体的に快適なのかな???
防風性に関しては秒速10m以上の風が吹いていた中でフードもしっかりかぶっていて、風が抜けて来るようなことはありませんでした。まぁ、これは普通ですね。問題はもう少し長く使っていてどうなるのか気になるところです。
防水性はわかりません。この辺りは後日フォローします。
本文中で何度か出てきた問題箇所・・・。写真を見てもらえば一目瞭然ですね。この辺はお店でただ試着しただけでは分からなかったところでした・・・。まず、胸ポケットはチェストストラップが干渉して行動中は著しく使いづらくなっています。なので、頻繁に出し入れするようなものは入れておけません。
次に脇腹にあるベンチレーターはショルダーベルトに干渉して開閉出来ません。公式サイトには干渉しないと書かれていますが、干渉します。少なても私は干渉しました。特に私の場合はこのベンチレーターはよく使います。行動中も頻繁に開閉してます。なので、これは計算外でした・・・。購入予定の人はお店に自分のザックを持って行って試着することをオススメします。
とりあえず、現在までの感想を書きました。これを読んだ人がどう判断するのかは分かりませんが、感じたことを素直に書いたつもりです。finetrackはまだ新しい会社です。恐らく失敗作も出してくることもあるでしょう(今回の製品がそうだとは思いません)。でも、個人的には注目しているメーカーの一つです。まだ、新しい故に冒険も出来ると思います。ぜひ、がんばって他のメーカーには無いような魅力的な製品を出していってもらいたいですね。でも、価格はもうちょっと抑えてくれるとありがたいんですが・・・(^_^;;
2013年01月14日追記
本文で、ベンチレーターはショルダーベルトに干渉して〜、と書いていますが、素手でしたらショルダーベルトの隙間に指を入れて何とか開閉すること出来ました。でもグローブをしている時の開閉はもう少し練習が必要かも・・・。でも、これでなんとか行動中でも開閉できるので、服内のムレを調整することが出来るようになりました。マメに調整を行えばそれなりに快適ですが、中の服はそれなりに濡れます。なので、インナーやミドルウェアの素材選びは大事だと思います。私の場合はインナーにファイントラックのドライウェアを着用して、その上にメリノウールのジップシャツ、化繊のミドルウェアを着用していたら、濡れていてもあまり不快感はありませんでした。また、ひとつ新たに気になったことがありまして、ベンチレーターとポケットが平行なので、ポケットに物を入れたつもりが、ベンチレーターに入っていたなんてことが何度かありました。まだ、感覚がつかめていないせいだろうと思いますが、要観察ですね。