【不思議】山の不思議体験(番外編) 第六話「虹の大橋 DE 不思議体験」

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いなかた

このお話は僕がまだ山登りをするはるか前に体験したことです。本来なら「山の不思議体験」なので、ここで書くべきことではないのかのもしれません。しかし、このブログを昔から読んでくださっている(奇特な)方は知っているかもしれませんが、過去に何度も、不思議な体験したので、いずれ書きます、いずれ書きます、と思わせぶりな態度をとってきました。しかし、前述の理由でなかなか書けずにいました。僕の中でも、いずれその時が来たら書くんだろうな〜、くらいに軽く考えていて、それほど切羽詰まったわけでもないけど、特に理由もなく急に書く気になり今回の公開にいたりました。

時代は80年代後半、世の中はまだまだバブルで浮かれていた頃です。もちろん僕も浮かれていました。

その日僕らは、友達の家で親しい仲間3人が集まってクリスマス・パーティーで盛り上がっていました。これは今の若者でも同じだと思いますが、夜が深くなってくると、誰とも知らずに、何やら不思議体験話しなんかが始まったりすることがありますよね。その時の僕らもそんな流れになり、それぞれが不思議話しを始めます。そんな中、仲間のひとりが、そう言えばこの近くに心霊スポットがあって、実際に見た人も多いらしいよ、なんて発言がありました。そうなると、じゃあ行ってみる? なんて流れになるのは、今の若者も、昔の若者も同じだと思います。今なら、え〜、そんなのガセに決まってんじゃん、めんどくせーよ、なんて一蹴するのですが、そこは、血気盛んな若者です。じゃあ、行こうぜー! なんて流れになりました。

僕らはその言い出しっぺの人の車に乗り、近くの心霊スポットに向かいました。

そこは、今となっては場所は思い出せませんが、とある病院の裏口です。心霊スポットによくある廃病院とかではなく、昼間は普通に開業している少し大きめの総合病院です。そこの裏口に何やら出るらしいと言うことです。僕らはその病院の裏に車を停め、ジッと裏口を見つめます。

そこは、よくある小学校の昇降口のようなガラス戸になっていて、開閉するガラス戸の上にはめ殺しのガラスが入っているような構造の出入り口になっています。

車を停めてからそれほど時間は経っていないと思いますが、仲間の1人が、あっ! っと言って裏口のガラス戸の上部を指差しました。皆がその指差す方を見ます。皆、一様に、うわ〜、と声を上げています。えっ? えっ? 何が見えるの? と僕は目を凝らして裏口を見ますが、特に変なモノは見えません。誰かが、早く車を出せ! と叫んで車は急発進しました。その時です。僕にも見えました。ガラス戸の上のはめ殺しのガラスの向こう側に男性の顔のようなものが・・・。位置的にも高さは2m以上はあるので、そこに深夜(午前1時頃)、人がいるなんて考えられません。あれはなんだったんでしょうか?

と、ここまではこのお話しの導入部です。ここからが本番です。

宮ヶ瀬湖

まずは場所の説明からします。神奈川県の心霊スポット10選、とかあるとかなりの確率で入ってくる、神奈川県北部にある宮ヶ瀬湖に掛かる「虹の大橋」です。今となってはかなり有名な場所になっています。その界隈の人なら一度くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか?

色々と噂のある橋ですが、ほとんどの人は実際に体験した人の話ではなく、又聞き、さらにその又聞き、だったりすると思います。なかなか、実際に体験した人の話しを聞いた人は少ないと思います。

しかし、今回は実際に僕が体験したことです。まぁ、気のせい、何かの見間違い、等々のご意見もあるかと思いますが、まずは、僕が体験した、もしかしたら、体験したと思っていることをお話ししたいと思います。その話を聞いて、どう判断するかは、読んでくださった貴方にお任せ(丸投げ)します。

病院の裏口で見たアレが何だったのかは分かりませんが、確かに顔のようなモノが見えたのは事実です。しかし、本当にそこに何かが居たのかは分かりません。周りの人が見えたと言ったので、僕の脳味噌が勝手にそう見せていたのかもしれません。

しかし、車の中は大盛り上がりです。同乗者は皆、見た? 見た? と言っていますが、後で擦り合わせてみると、微妙に食い違っていました。まぁ、幽霊なんて人が勝手に頭の中で、それらしい像を結んでいるだけでしょう。いるわけないじゃん。なんて意見で落ち着くかに思ました。しかし、一度盛り上がった気分はそうそう下り坂にはなりません。逆に今の一件で、さらに火が付くことになったようです。最初の言い出しっぺの人が、じゃあ、次行こうぜ! と宮ヶ瀬湖に向かうことになりました。

いなかた

80年代後半、まだ虹の大橋が出来て(架設年は1985年)数年しか経っていない頃にはもう、この橋には、自殺の名所、心霊スポット、と言う称号が付けられていたようです。ただし、この時はまだ今のような高いフェンスは設置されておらず、低い欄干だけしかなかったと記憶しています。

宮ヶ瀬湖に向かう途中で雨が降り始めました。そして、標高が上がるにつれ、みぞれ混じりになり、やがて、雪混じりになりました。時刻は夜中の2時頃です。辺りは真っ暗で、前にも後ろにも車は見えません。先程までバカ騒ぎしていた車内が嘘のように静かになり、みんな窓の外に舞う白い雪を眺めています。

鳥居原園地の丁字路に差し掛かりました。

いなかた

もちろん、今でこそ鳥居原園地と言えばバイカーさんの聖地(?)になっていますが、その当時はまだありません。それどころか、まだ宮ヶ瀬ダムに向かう道も通れません。道自体はかなり昔からあるようです。僕自身ここの道がいつ出来たのかは知りません。少なくても僕が免許を取った時にはあったと思います。恐らく宮ヶ瀬ダムの工事用の道なので、かなり前には出来ていたんだと思いまが、なかなか一般車が通れるようにはならなかった記憶があります。

鳥居原園地の丁字路を右に曲がると、虹の大橋はすぐです。車なら1〜2分程度の距離です。緩やかに左にカーブすると、目の前に虹の大橋が目に入りました。その頃になると、降り出した雪は本格的になってきました。かといって、まだ道路上に積もるほどではなく、視界もまだ十分にあります。

その不思議は車が橋に掛かってすぐのところで起きました。距離にして20〜30mほどのところでしょうか。虹の大橋は北側(鳥居原園地側)から入ると、左側に歩道があります。僕は助手席に座っていたので、歩道まではほんの数メートルの位置になります。その歩道に突然人影が現れました。いや、現れたと言うのは正しくないかもしれません。突然視界に入ってきました。その人影を見たのはほんの一瞬です。えっ? と思ったのと同時に僕は助手席側のフェンダーミラーに目をやりました。一瞬ですが白い影が見え、すぐに暗闇を映し出す真っ黒なミラーになりました。僕は振り返りたい衝動に駆られましたが、その勇気はありませんでした。

車は、しばらく(と言っても、ほんの数秒だったと思う)は速度を上げるでも下げるでもなく、ただ真っ直ぐな橋を進みました。もちろんその間、誰も一言も発しません。そんな中、僕が、静かに
「今のって・・・」
 それを聞いたドライバーは
「やっぱり、見えた? よね」
「うん、誰かいた・・・」
「いやいや、こんな時間(午前2時)に、こんな場所(山の中)で、こんな時(雪が降っている)に人がいるわけないじゃん」
「でも、見たよね?」
 なんて会話があり、それぞれが見たものの容姿を確認しました。すると、紛れもなく同じものを見ていることが確認出来ました。

その人影は車道を向いて歩道に立っていました。もう、それだけでも異常なんですが、それだけではなく白装束(人が亡くなった時に着るアレです)で、髪の毛は完全な白髪までいかないグレーの髪の毛でした。顔はうつむき加減でしたのではっきりとは見えませんでしたが、僕とドライバーのJ君は老婆に見えた、と意見が一致しました。

まとめると、年末の押し迫った真夜中に雪の降る中宮ヶ瀬湖に掛かる虹の大橋の歩道に白装束を着たグレーの髪の毛の老婆が立っていた、と言うことです。もしかしたら、本当にそういう人が、そこに立っていただけなのかもしれません。しかし、どう考えても、その時間、その場所、その格好、でそこにいるのはあまりにも不自然です。だったら僕らが見たものはなんだったんでしょう? 今なら、引き返すなりの何らかの検証をするのでしょうが、当時の僕らにはそのようなことまで思い至らなかったです。いや、思い至ったとしても、その勇気はなかったでしょう。ただただ、一目散に帰るだけで精一杯でした。帰りの車の中でも、見たものの話しをしましたが、やはり、同じものを見たのは間違いなさそうなので、何かがそこにいた(あった)のは事実だと思います。いや、もしかしたら、病院裏の一件があったので、一種の集団催眠のようなものに掛かった状態だったのかもしれません。今となっては確認のしようがありませんし、同じ時期に同じようなシチュエーションの時に再びそこに行ってみようとも思いません。なので、お話しはここで終わりです。

これが僕が宮ヶ瀬湖に掛かる虹の大橋で体験した全てです。最後まで読んでくださりかありがとうございました。

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