ジョン・ミューア・トレイル
前のふたつは、完全に登山道を外れていますが、今回はずっと登山道上にいます。なので、道迷いというより、道間違いです。コレを入れるか悩みましたが、僕自身、よくコレをやるので、入れることにしました。
この道間違いは色々なパターンがあります。まずは思い込みが原因の道間違いです。まぁ、たいがいの道間違いは突き詰めれば思い込みが原因なんですが・・・。
また、これは初級者、上級者、関係なく起こることだと思います、
色々なパターンがありますが、ここでは極々最近にやらかしたことを書きます。
それは、昨年(2019年)のジョン・ミューア・トレイルでのことです。5日間で3回もやらかしてます。
1回目
まずは1日目、アグニューメドウをスタートしてすぐ、左に曲がらなくてはならないところを、直進してしまいました、ただ、ここに関しては初めてのアメリカのトレイルということもあり、勝手が分からなかっただけだと思います。一応、道標のようなモノがないか、注意深く辺りを見ていたのですが、どうやら見逃したようです。もしかしたらそもそも無かったのかもしれませんが、今となっては確かめようがありません。
しかし、今思えば、ちょうどこの辺りはPCTとの分岐で、JMTと重なっているルートと、分かれているルートの境目のようなところなので、より深い道標読みが必要だったのかもしれません。
この時は、、、というか行き止まりになったので、すぐに気が付き引き返すことが出来たので、それほど大きな実害がなかったのが不幸中の幸いでした。まぁ、早々にアメリカのトレイルの洗礼を受けたということでしょうか?
2回目
次は2日目です。
JMTの中でも有名な、加藤さんのJMTの本の表紙にもなっている、サウザンド・アイランド湖を左手に見て、歩いていると、PCTとの分岐があります。そこは十字路になっていて、JMTは十字路を突っ切って真っ直ぐ伸びています、PCTは右からJMTに合流して、います。つまり、十字路のこちら側はJMTで、向こう側はJMTとPCTが重なっています。
十字路の脇に小さな道標があります。よく見れば間違いようのないように書かれているのですが、何故かここで僕は左に曲がってしまいました。むしろ、この道標が無ければ、道なりに真っ直ぐ進むだろうから、間違わなかったと思います。しかし、PCTを歩いている人にはここの道標は絶対に必要です。なので、ここはもっと大きな道標にして、見やすくすれば良いと思いますが、積雪などでそう簡単には出来ないんでしょうね。使う人が気をつけろってことですね。
結局、ここでのロス時間は1時間ほどになりました。次のランドマークがアイランド・パスでしたので、湖を越えたら、登りになるはずなのに、いくら経っても、湖の湖畔を進むばかりで、登りになる気配が無いので、何か変だぞ! と地図を出し、GPSで確認したら、全然違う方向に進んでいるのに気が付きました。そして、すぐに、あっ! あそこで間違えたんだな、と先程の十字路に向けて、急足で戻り、道標をよく見ると、おかしい、間違える要素が無い。
しかし、実はこの道標、立っている角度が微妙で、自分が歩いてきた方から見ると、道標が正面に見えるのだ。本来は道に対して並行に設置していれば、道標に書かれている矢印に矛盾は無いが、少し角度が違ったせいで、矢印が90度違った方向を指しているように見えてしまったのだ。
冷静に自分が来た方向を考慮して考えれば間違いようが無いけど、どうやら、僕はここでは冷静さを失っていたようだ。
3回目
そして、3回目の迷走は4日目でした。トゥオルミー・メドウのバックパッカーキャンプグラウンドを出発してしばらく歩いたところです。
ここも十字路になっていて、普通に真っ直ぐ進めばよかったのに、今度も左に曲がってしまいました。理由はいくつかあります。
まず、十字路にいくつかある道標のひとつの前に5〜6人グループのハイカーが立っていて、そこに道標があることに気が付きませんでした。
そして、上のグループとは別の4〜5人のグループ(恐らく家族連れ)が、ちょうどそこの十字路を左に曲がったので、ついついそれに釣られてしまいました。
それに重ねて、ソロのハイカーが、十字路の右からやってきて、左のルート(彼にとっては直進)に進んだのも釣られたひことのとつの要因になっていると思います。
そして、そして、これが一番の要因ですが、左に曲がってすぐに道に並行に道標があり、そこに『John Muir Trail』
とありました。これも後から思えば非常に微妙な位置にあり、その曲がったルートがJMTと勘違いしそうな位置に道標が設置されていたので、読み違えてしまいました。
で、結局この時もちょうど1時間のロスになりました。1時間と何気に言うけど、結構大きなロスですよね。
まぁ、これは完全に言い訳ですが、ほんのちょっとの偶然と、ほんのちょっとの思い込み、ほんのちょっとの確認不足が重なってこうなったのだと思います。だって、みんながそっちに進めば、そっちが正解だと思っちゃいますよね。言い訳ですが・・・。
僕流の対策
でも、いくら学習能力の(限り無く)低い僕でも、この短期間で3回もルート間違いをすれば、学習し、対策を考えます。特別なことをしているわけではありませんが、次にそれを紹介します。
まず、分岐に来たら、道標だけではなく地図で確認します。まぁ、これは当たり前ですね。しかし、全ての分岐が地図に書かれているわけではないですよね。
地図に分岐が書かれている場合は、進む方向を確認します。目の前に分岐があるのに、地図に書かれていない場合は、自分の位置を確認します。その場合は周りに何か特徴的なモノ(川とか、鉄塔とか、正面に山名が特定出来るような山が見えたり)があれば、簡単に自分の位置が特定出来ますが、そのようなモノが全く無いような場合は、コンパスで自分の向きを確認して(自分が向いている方向が分かれば、位置が特定出来る場合がある)位置を確認します。その時、僕はちゃんとしたコンパスを出すのが面倒なので、腕計に付いているおまけコンパスを使うことが多いです。もちろん複雑な地形をルートから外れて地形図片手に進むような場合は、ちゃんとしたコンパスを使うこともありますが、たいがいは腕時計のおまけコンパスで十分だったりします。
自分の位置と向いている方向が分かれば、次に進むべき道も見えてきます。それさえ分かれば、そのルートを進むだけです。
しか〜し! これでも間違うのが、ワ・タ・ク・シ、です。なので、上記のほかに僕はもう一つ確認します。それは、分岐から10mほど進み、そこで立ち止まり、再びGPSで自分の位置を確認します。
何故10m進んでから確認するのか? それはGPSの誤差を考えています。分岐に近すぎるとGPSの誤差で自分が正しい方向に進んでいるのか確認出来ないときがあります。それに、10m程度ならたとえ間違えたのに気が付いても、それほど大きなロスにならなりません。この方法で、その後、同じような大きなルート間違いは無くなりました。
まぁ、この方法で全てのルート間違いが無くなるかというと、そんなことは無いと思います。始めに書いた通り、ルート間違いの始まりは様々です。そもそも、GPSなんて無期限に無電力で使えるわけはありません。バッテリーが無くなればただのオモリです。地形図だって、100%全ての山行に持っていっているわけじゃないし、思い込みだって人間である限り完全に無くすことは出来ません。
それに、今までの前提はソロ登山時でのことを想定しています。これが、パーティー登山になると、それ特有の新たな問題が出てくると思います、
結局、人間である限り、ルート間違い、道迷いは無くせません。では、そもそも、山に行かなければ道迷いなんかしないぞ。なんて考えたりもします。まぁ、街の中で道に迷っても、死に繋がる可能性はかなり低いし、そうだ! 山に行かなければいいんジャン。ってわけにもいかないよね。そんなことしたら今度は人生に迷いようだし・・・。
なので、全てのルート間違いを完全に無くすことは出来ないものの、ある特定の原因に起因するようなルート間違いなら、ある程度減らすことはできるんじゃないかな、と思います。なので、これからも、死なない程度の失敗を繰り返しつつ、その方法を探り続けたいと思います。
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