【失敗談】テント編《骨折の章》

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大抵のテントにはその型を維持するための骨(ポール)があります。スリーブにポールを通すもの、ポールにテントをぶら下げるもの、中には、トレッキングポールや木の枝をつっかえ棒のように使うものもあります。例外的に細引きだけでテントを維持させる場合もありますが、まぁ、これは特殊な場合ですね。特殊と言えば、ポールも細引きも使わず、空気を入れることによってテントを保持する(テント固定用のガイラインは別)モデルもありますね。もっとも、山のテント場では見たことはないですが・・・。

ポールは人間にとっての骨格と同じで、テントにとっても、特に大切なパーツです。人間から骨を抜くとフニャフニャになりますよね。見たことは無いですが、、、。テントも同じように、ポールが無くなると、フニャフニャどころか、ペチャンコになります。なので、ポールは大事です。

今回はその大事なポールについて僕が経験したことをお話ししたいと思います。

目次

八ヶ岳(赤岳・横岳・硫黄岳)トレッキング紀行(2011年10月08日~09日)

もう、10年ほど前のお話で、初めての八ヶ岳山行です。南八ヶ岳で、もっとも人気のあるコースのひとつで、赤岳から硫黄岳の縦走をした時のお話しです。

初めての山域で、チョット緊張しながら、最初の目的地の行者小屋のテント場を目指します。この日は三連休の最初の日ということもあり、かなりの人出で、登山道にも列が出来ていましたが、美濃戸から2時間ほどで行者小屋に到着。

テント場にはかなりの数のテントがあり、当然良いところにはすでにテントが張られています。初めてのテント場なので、勝手が分からず、まず、小屋の位置とトイレの位置を確認。辺りをウロウロしていると、小屋やトイレからは少し離れているものの、他より一段高くなって、すぐ隣にベッタリとテントが張れないような場所があった。

お〜、いい場所が空いてんじゃん! 

とザックを下ろして、テントを引っ張り出す。思ったより良いところが空いていたと、気分良くテントを立てていると、そこが何で空いていたのか理由が分かった。テント場の中を登山道が貫いていて、そのすぐ脇が僕が選んだ場所だった。通常、テント場内には、自然と道が出来ていたりします。普段はこの道はテント泊客のみ歩くので、それほど気にはなりませんが、メインの登山道はテント泊客はもとより、小屋泊まりの人たち、それ以外の一般登山者も通ります。なんだそんなことか、と思うかも知れませんが、昼間や夜の早いうちになら特に問題も無いんですが、ようは早朝です。例えば、僕が5時起床を予定していたけど、御来光を目的としている登山者は2時とか、3時(もちろん午前)に起床して、早い時間に出発します。そうなると、僕のテントのすぐ脇を重い登山靴でドタドタと通り過ぎて行きます。まあ、ソロ登山者ならまたマシですが、グループ登山だと、ドタドタドタドタドタドタドタドタとしばらく続くことになります。しかも、グループ登山だと出発時にはワイワイガヤガヤと話しながら歩いているので、ドタドタワイワイガヤガヤととっても賑やかになります。それが寝ているすぐ脇で起こるので、寝るどころではないです。連日でハードな登山をするような場合は睡眠はかなり重要です。無理矢理起こされるのは望んではいません。なので、通常はこのようは場所は避けるのですが、この日は、2日目の朝は、下山するだけの予定だったので、まぁ、いっかー! と、この場所に決定しました。   

場所か決まれば、あとはテントを張るだけです。いつものように、テント(この時のテントはアライのエアライズ2で、10泊以上は使用しています)のスリーブにポールを通し、ポールを2本ともグロメットに固定すれば、テントは立ち上がります。テントを地面に固定する前に、風向きを確認してテントの入り口の方向を決める必要があります。辺りの地形を見ながら、入り口の方向はコッチがベストだな、と自分に言い聞かせて、軽くテントを持ち上げると・・・

バキッ!

えっ?

何? 今の音・・・。

静かにテントを地面に下ろす。パッと見には、特に何かが変わったようには見えない。もしや? と恐る恐る、ポールを引き抜いて(厳密には、押し出して)みる。

ああああああああ〜。

ポールのジョイント部分が割れて(避けて)る。やっちまった・・・。思わずこれ→(_| ̄|○)が頭をよぎった。

でも、大丈夫、こんな事もあろうかと(嘘)、補修パーツ(正式にはリペアスリーブやリペアスプリントと言うらしいですが、ここでは補修パーツと呼びます)を持っている。この日はこれで事なきを得たけど、でも、何で割れたかな〜。やっぱり、無理に力を加えたのがいけなかったからだとは思うけど、こんな事はいつもやってるのになぁ。まぁ、でも、とりあえず一晩なら何の問題も無いので、補修パーツを使いテントを立て、赤岳に向かいました。

山岳用テント(アライ エアライズ2)の折れたポールの修理について

結局、前章の八ヶ岳山行は無事に終了しました。割れたポールのその後の処置(自分で修理した)に関しては、下記の記事に書いているので、興味のある方はご一読ください。

上高地・蝶ヶ岳トレッキング紀行(2012年09月15日〜17日)

前回のポール割れ山行からちょうど一年が経った頃、再び、アライのエアライズ2を使用してのテント泊山行を行いました。エアライズを使用してのテント泊山行は一年振りですが、この間に他のテントでテント泊山行は行っていました。しかし、ポールを修理してから一度もエアライズを使ってなかったし、それどころか、一度もテントを立てていなかったので、本当にポールが直って、再び使えるのかは気になっていました。

なので、今回は勝手知ったる、というか、過去に何度も使用したことのあるキャンプ地を選びました。ここなら、何かあっても、対処がしやすいです。

2泊3日の北アルプス山行で、一泊目は徳沢のテント場、二泊目が小梨平キャンプ場です。

1日目は大正池でバスを降りて、のんびりと徳沢まで歩きます。途中、嘉門次小屋で名物のイワナの塩焼きを食べ、のんびり歩いて、お昼前に徳沢に到着。

早速、テントを立ててみる。なるべくポールには負荷を掛けないようして・・・慎重に、慎重に、、、まぁ、そこまで慎重にやる必要はないのだけど、なんとなく慎重になってしまう。結果、テントは無事に立った。まぁ、当たり前だよね・・・。気分を良くして、徳沢名物のソフトクリームを食べる。

そうこうしている内に、お昼になったので、水場に水をゲットしにいこうと、テントを出ようとしたら・・・

バキッ!

えっ?

何? 聞き覚えのある音だぞ!

テントを見ると、あきらかにひしゃげている。これはやったな。通常、このエアライズというテントの頭頂部は弧を描くように半円形をしている。しかし、今、僕の目の前にあるエアライズはピラミッドのように頭頂部がとんがっている。引き抜いてみなくても、ポールがどうなっているのか想像できた。

え〜〜〜〜っ!

ある程度の年齢の方なら分かると思うけど、ギャートルズで、地平線の向こう側から、立体文字が飛び出してくる効果を見たことがあると思うけど、まさに僕の背後からあの文字が飛び出してきた気分です。

何で? 何で? 何で? 一年前とはいえ、2回連続だぞ! こんなことってあるのか? 割れたポールが同じものかは分からないけど、ポールよ! もろすぎるぞー!

う〜ん、どうしよう。実は前日、貫徹していて、一睡もしないままここにきている。だから、早めにテント場に着いて、午後から昼寝するつもりでいたのだ。

ペグを抜いて、フライシートをとり、ポールを抜く。この過去に何度もやっている作業が呪わしい。言い方を変えれば、面倒くさい。

テントをよく見る。頭頂部はとんがっているけど、十分に人ひとりが寝られるスペースはある。すぐに倒れる心配もなさそうだ。割れたポールの鋭利な部分がテント本体を傷つけないか心配だったけど、とりあえず今晩はこのままにすることにした。チョットだけテントの形が変わっただけだ、このテントなら遠くからでも自分のテントだと簡単に見分けられる。

よしっ! 一晩これでいこう。まぁ、なんとかなるでしょう。というか、なるようになるでしょう。

というわけで、このまま一晩過ごした。翌朝、テントをそのままにして、蝶ヶ岳に向かう。僕が蝶ヶ岳に行っている間に僕のテントを見た人はラッキーだったと思う。だって、こんなテントは滅多に見られないからねー。

蝶ヶ岳から戻ってきたら、(当たり前だが)テントはそこに立っていた。もう一晩ならまだ行けそうだったけど、次は小梨平に泊まる予定だったので、仕方なくテントを撤収する。その時、初めてポールを見る。ポールが割れてる。まぁ、これは想像できた。ただ割れているだけではない。一年前と全く同じように割れている(裂けている?)。まるで、デジャブだ。

とりあえず、小梨平での2泊目は補修パーツがあるので、それを使い、普通に立てることはできました。

いなかた

それにしても、二回連続で同じようにポールが割れるなんてことがあるのか? このテントは購入してから6年ほど経っている。考えてみると、テント本体は神経質なほど、帰宅後に乾燥させている。一方でポールはどんなに濡れていても袋に入れっぱなしだった。恐らく素材はアルミニウム、またはそれに準ずるものだと思う。だとすると、やっぱり、十分に乾燥させなかったのは失敗だった、と気が付いた。日常では、アルミニウム製品だとそれほど水が付いても気にしていないので、その感覚のままだったのだ。もちろん、アルミニウムだって腐食はする。なので濡れたままにしておくのはNGである。これ以降はテントを乾燥させる時は、ポールも乾燥させるようにしている。内部(ポールは通常、中空になっている)に入り込んでしまった場合は、よく振って、中の水分を飛ばしたあとに乾燥するようにしています。

ちなみにその後は、ポール2本(1セット)を丸々新しいものに変えました。しかし、新しくしてからはまだ、エアライズは使っていません。二度あることは三度あるって言うでしょ。仏の顔も三度までだし・・・。

2011年頃からnemoのテントを使うようになり、最初買ったMETA 2Pから始まりANDI JP → META 1P → TANI LS 2P → ANDI 2P → ANDI 2P(2張目)と変遷して、現在はANDI 2Pをメインにしています。今のところ、ポールが割れたり、折れたりしてはいないです。これはnemoのポールが頑丈だからというより、エアライズは良いテントだったので、長く(7年くらい)使い続け、かつ、ポールの保管方法に問題があったために経年劣化を起こしたためだと思います。

みなさん、たかがポール、されどポールですよ〜・・・。


ちなみに以下に僕が買ったもののリンクを張っておきます。Amazon等で探すと色んな種類のものが見つかりますが、このMSRのものを買ったのは、単純に、あまり訳のわからないメーカーの物を使いたくなかったってことと、このサイズが、アライテントのエアライズ2に付属しているものとほぼ同じ大きさだったってことです(詳細なサイズは下記の表参照)。僕がメインで使っているいくつかの山岳テント(私の持っているテントの一覧はこちら)のポールの径を調べてみると、直径がだいたい8〜9mmくらいです。それに対して、この補修パーツは内径が約11mmです。派手に割れたり折れたりした場合はどうなるかは分かりませんが、僕が過去に経験した2回の時には問題なかったです。さらに太いサイズもありますが、吊り下げ式のテントなら問題無いのかもしれませんが、スリーブ式のテントだと、スリーブに通らなくなる恐れがあるので要注意です。通常山で使う2〜3人用のテントならこれで問題無いとは思いますが、もし、購入する際は、自分のポールの直径を調べてからにすることを強くオススメします。また、これはうろ覚えなんですが、なかにはポールにテーパー(ポールを繋げた時に端と中心部の太さが違う)がかかっているものがあったと思います。その場合は一番太い部分を測ってください。

エアライズ2付属MSRリペアスプリント
長 さ130mm130mm
外 径12mm13mm
内 径10mm11mm

また、僕は使いませんでしたが、テーピング用のテープや、アウトドアマン御用達のダクトテープなどがあると、スリーブを通すときや抜く時に楽になると思います。

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