今回は塩の道トレイルを歩いてきました。糸魚川を起点として松本までの約120km(実際にはもう少しあると思われる)のトレイルです。「敵に塩を送る」の元になった逸話の上杉謙信が武田信玄に塩を送った時にこのルートで運ばれたと言われています。まぁ、実際にはこのルートの一部を通ったってことでしょうが・・・。
“塩の道”って言うくらいなので海側(糸魚川)から内陸部(松本)に進むのが本来の姿なのかも知れませんが、スケジュールと利便性で今回は逆に内陸部の松本をスタートして糸魚川を目指しました。そうすることで全体的に下り基調で歩けるという思いもありましたが、実際にはどちらから歩いてもそれほど変わらないように思います。ただし、糸魚川をスタートとすると、(今回私が歩いたコースだと)初日に一番の難所の大網峠(帰宅後に知ったことだけど、おおあみとうげ、ではなくて、おあみとうげ、と読むらしい)越えがあり、後半はほぼダラダラとした舗道歩きになるので非常にツマラナイと思います。個人的にはスルーハイクする場合(あくまで歩く場合)は松本スタートの方をお薦めします。トレランの場合だと元気な内に難所越えをしたほうが効率的ならば糸魚川スタートもありだと思います。
松本スタートというのは計画初期の段階で決まっていました。しかし、この塩の道トレイルはルートが沢山あります。松本をスタートした直後にも松本城の東側を通るルートと西側を通るルートで分かれます。また、小谷村(おたりむら)以北もいくつかのルートに分かれています。最初に悩んだのが松本と糸魚川をどのルートで1本の線で結ぶか、でした。計画が始まったのが2015年の12月でしたので、この時点で残雪の状況を予測することは不可能です。なので、当初の予定では松本をスタートして松本城の西側を通り小谷村までは公式マップ通りに進み、そこからは行き当たりばったりで、積雪量が多かった場合は山岳ルートを諦め、最悪国道沿いを通り糸魚川に向かう。というものでした。しかし、年を越え、1月2月3月と進む内に今年はかなり雪の量が少なそうだったので、山岳ルートも視野に入れて何度もルートの検討を行いました。しかし、この塩の道は山岳ルートの情報がほぼ皆無でしたので、深く入っていくルートは避けて、距離も短い(約10km)大網峠ルートということで計画を進めました。その後、スタートの2日前に公式サイトで大網峠は通行可という発表があったので、結果的には良いルートを選択したと思っています。その他細かなルートの関しては本文を御覧ください。
また、このトレイルは住宅街を歩くことも多く、前半は道標が皆無なので、ルートが非常に分かりづらいです。今回は公式マップの他にスマホアプリの「スーパー地形」内にルートを設定して持って行きました。それでも途中何度もルートを外しました。なので、今回のトレイルのルールを自分勝手に決めました。まず、スタートは牛つなぎ石(松本)、ゴールは道路元標(糸魚川)とします。基本的には公式マップを辿りますが、絶対にその道を通らなければならない、ということは無く、例えルートを外しているのが分かっても、その間違ったルートを進んでも本ルートに戻れる場合はそのまま進むこととします。いちいち引き返しません。ただし、その間違ったルートを進んでも本ルートに戻れない場合は素直に分岐まで戻り本ルートを進みます。二箇所だけそのような場合がありました。本ルートも実線と破線がありますが、基本的には実線を優先させます。もし、この塩の道トレイルを公式マップ通りに進みたい、という方がいたら、ルートに詳しいガイドを頼むか、GPSをフル活用してずっとGPSの画面とニラメッコして歩くか、するしか無いと思います。
山行データ
山行日 | 2016年04月29日(金)〜05月04日(水) | ||
---|---|---|---|
コース | 【1日目】牛つなぎ石(松本)〜アルプス公園〜あづみの橋〜穂高神社〜かじかの里公園キャンプ場 【2日目】かじかの里公園キャンプ場〜木崎湖〜中綱湖〜青木湖〜北村キャンプ場 【3日目】北村キャンプ場〜道の駅白馬〜ホテルメリベル栂池(栂池高原) 【4日目】ホテルメリベル栂池(栂池高原)〜千国越えコース〜石坂越えコース〜道の駅小谷〜葛葉峠 【5日目】葛葉峠〜天神道越えコース〜大網峠越えコース〜塩の道(東まわりコース)〜道路元標(糸魚川) | ||
山 名 | タ グ | ||
山 域 | 北アルプスエリア | 累積標高 | 【1日目】(+)363m(-)415m 【2日目】(+)795m(-)504m 【3日目】(+)396m(-)423m 【4日目】(+)1,272m(-)1,633m 【5日目】(+)1,383m(-)1,817m 【合 計】(+)4,209m(-)4,792m |
歩行距離 | 【1日目】23.263km 【2日目】36.330km 【3日目】20.483km 【4日目】26.660km 【5日目】30.362km 【合 計】137.098km | 所要時間 | 【1日目】06時間12分 【2日目】09時間04分 【3日目】07時間04分 【4日目】10時間03分 【5日目】11時間07分 【合 計】43時間30分 |
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現在地
塩の道トレイル1日目
【06時31分】
松本駅の近くにある駐車場に車を駐める。普通のコインパーキングだと複数日の駐車場は色々と問題がありそうなのでこの駐車場に車を駐めた。ここは管理人が常駐しているし屋根も付いているので複数日の駐車に向いている。念の為一月ほど前に予約の電話を入れて6日間駐めることを伝えてある。
【06時32分】
駐車場の前の道を西に進む。スタート地点の牛つなぎ石もこの道沿いにある。道迷いの心配なし。
【06時39分】
あっ! 好日山荘だ! もちろんこの時間はやっていない。
【06時41分】
駐車場からのんびり歩いて10分ほどで今回のスタート地点の牛つなぎ石に到着。これから始まるトレイルに対する期待と不安でいっぱい・・・。いや、不安の方が多いかな・・・。
【06時42分】
スタート地点と言っても、ちょっと引いて見れば街の中のただの交差点(厳密には丁字路)。左下に上の写真の牛つなぎ石がある。普通の人も歩いている。その中でデカイザックを背負って派手な色のジャケット着ているおっさんは目立つのかジロジロ見られる。早くスタートしたい。
牛つなぎ石 – Spherical Image – RICOH THETA
【06時43分】
さぁ、スタートするよ! 今日の目的地は「かじかの里公園キャンプ場」。距離は少な目の約20km。でも、自分の中のどこかにスタートしたくないもう一人の自分がいるのか、そのスタートはとてもスローなスタートだった。ちなみにザックはグレゴリーのトリコニで、総重量は約18kg。
今回は普通の道を歩くことが多いので(8割くらいは舗装路だと思われる)、ザックの後ろにリフレクターを付けている。LEDで光ったり点滅したりする機能もある。もっとも、今回は日が暮れてからも歩く予定は無いので光る必要は無いのかもしれないけど、例えば歩道のない長いトンネルとか昼間でも光って欲しい時はある。しかし、線路をくぐったり国道をくぐったりする以外は一切トンネルは無かったけど・・・。
【06時47分】
あっ! 石井スポーツだ! この辺りに山道具店が多いな・・・。
【06時48分】
川(女鳥羽川)を渡る。たくさんのカラフルなお魚がユラユラ風に揺れている。
【06時49分】
カエル? 「がま侍」というらしい。
【06時52分】
風情のある建物が、両サイドを近代的なビルに挟まれて窮屈そうにしている。
【06時53分】
スタートから10分ほどで松本城到着。
【06時54分】
奥に天守閣が見える。松本城は以前一度登っているのでここはスルー。っていうかさすがにこの時間だと建物の中に入ることは出来ませんよね。
【06時54分】
松本城の西側を歩くコースと東側を歩くコースがある。初日だと言うことで、運転の疲れや寝不足のことを心配して1日目の歩く距離を20km程と抑え気味で計画を立てている。当初の予定では西側のコースを歩くつもりだったけど、それだと本当に、ただ平坦な舗道を歩くだけになってしまうので、ギリギリになって歩く距離は長くなるけど多少変化のある東側ルートを歩くことに変更した。なので、右に曲がりお堀を左に見ながら進むことになる。
【06時55分】
お堀の角にテレビ信州があった。
【06時56分】
お堀沿いに進むと、開いている門があった。
【06時57分】
結構早い時間から開いてるんだ。
【06時58分】
門をくぐるとすぐにトイレがある。
【06時59分】
門を内側から見る。
【07時00分】
枡形門になっている。
【07時00分】
塀のあちこちには狭間がある。
【07時01分】
諏訪湖の辺りを走っている時は雨だったけど、この辺りは青空が広がっている。
お堀の内側を通っても行けそうだったけど、不確定なので素直にお堀の外側を歩くことにした。
【07時02分】
こここらもお城が見える。
【07時04分】
お堀の内側を通ればこの橋に出てくると思われる。
【07時04分】
ちょうど上の写真の橋の前の道を渡って正面の(えっ? 本当にここでいいの? というような)細い道を進む。もちろん道標なんてもんは無い。頼りは公式マップだけ・・・。
【07時06分】
ハナミズキが満開ですね。うちの近所のはもっと淡い色だけとこの辺りは濃いピンクです。
写真の奥に一方通行の標識が見えますが、ここを右に曲がります。
【07時07分】
曲がってすぐに井戸があります。
【07時07分】
上の井戸の正面を左に曲がります。ハナミズキの所から右に曲がって少し進んで井戸の所を左に曲がります。
【07時07分】
しばらくはこんなふうに住宅街の細い路地を進みます。道標も無いので地図とニラメッコです。
【07時14分】
なんか雰囲気のある家だな〜って思ったら・・・
【07時14分】
・・・なんか謂れのある家のようだね・・・。
【07時17分】
ここで塩の道トレイルの地図について書いておきます。公式サイトから公式マップをダウンロード or 取り寄せることが出来ます。私の場合は取り寄せました。取り寄せると地図とチラシが送られてきます。まぁ、チラシはおまけみたいなもので、肝心の地図は3種類送られてきます。今回は写真にある小冊子タイプの物を持って行きました。その他に6枚組の地図もありますが、これはかなり大きく(広げると297mm×525mmもあり、蛇腹折りになっています)携帯にはちょっと、というかかなり邪魔です。もうひとつは1枚の地図でコンパクトに折りたたまれていて携帯性は抜群ですが、そのつど広げたり畳んだりするのがかなり面倒です。それにブロックごとに区切られて書かれているので非常に見にくいです。わたしのお薦めは今回持って行った小冊子タイプの地図です。大きさも昭文社の山と高原地図を折りたたんだ状態より長さが2.5cmほど長いだけなので違和感がありません。71ページもある小冊子ですが、自分が歩いているページの端を折って目的のページが一発で開ける様にしていたのでこまめにチェックするのに向いています。なんだったら自分で栞紐を付けてもよいかもしれませんね。3種類の地図は書いている内容はまったく同じです。また、これらの地図には普通の登山地図のようなコースタイムや距離は書かれていません。ざっくりとした距離表示はありますが、直感的ではないので各ランドマーク間の距離を書いておきました。さすがに長い距離を歩くのを趣味にしているので、自分が歩くスピード&ペースは把握しています。なので、このように細かく距離を把握することでその日の行動するペースを掴むことが出来ます。また、行動中のメモもこの地図に直接書き込んでいました。なので帰ってきたらこの小冊子はボロボロになっていますが、愛着が湧いて捨てられませんね・・・。
後述しますが、この地図の他に千国の資料館で頂いた地図が、塩の道の核心部のみですが公式マップより詳細に書かれています。こちらの地図もお薦めです。
また、実際に歩くにはこの地図だけだと(特に市街地などは)かなり不安なのでiPhoneに「スーパー地形」というアプリを入れています。詳細は後述します。
【07時18分】
鯉のぼりです。自分が子供の頃は個人宅でも大きな鯉のぼりが泳いでいたもんですが、あまり見なくなりましたね・・・。信州のあたりならまだそういう習慣も残っていると思ったけど、個人宅ではほとんど見ませんでしたね・・・。
【07時26分】
ん? ちょっと開けた丁字路に出た。
【07時26分】
射撃場跡地なんだ・・・。
【07時26分】
上の丁字路を左折して法務局を回りこむようにすぐに右折する。
【07時35分】
法務局の脇を通って再び大通りの突き当りを右折左折して道なりに進むと開けた場所に出た。
【07時36分】
ここで道が3つに分かれている。道なりに右へ進むか? 真ん中を登っていくか? 左へ下るか? 地図で確認すると溜池の脇を通るようになっている。
【07時36分】
よく見ると左に溜池がある・・・
【07時37分】
・・・と言うわけで左の道に入り溜池の脇を通る。このようにわかりやすい目印がある所は楽なんだけどな〜。と言いつつ、本当は真ん中の道が正解だと思われる。が、イマイチはっきりしない。
【07時39分】
溜池を過ぎてすぐに細い道を右折。
【07時39分】
右下に小さい沢が流れている。しかし、地図ではこの沢を確認することは出来ない。
【07時42分】
ん? なんかの果樹園がある。
本来のルートは奥に見える家の方を通ると思われるが、住宅街を歩くよりはこっちの方がいいかな〜。でも、昔に道を作るとしたら地形的に考えてやっぱあっちだよな〜。
【07時44分】
りんごか〜。
【07時46分】
ん? こっちは何だ?
【07時47分】
丁字路にぶつかる。本来は右から歩いて来るはず・・・。まぁ、ここで本ルートと合流したのでヨシとしよう。。。
【07時47分】
右に曲がると緩やかな坂が続いている。
【07時47分】
とりあえず目標にしていたアルプス公園に向かう。
【07時50分】
ダラダラ登りが続く。
【07時55分】
アルプス公園到着。
【07時56分】
公園の駐車場にトイレがあったので用をたす。このトレイルの前半は住宅街と街中なのでトイレは早め早めに済ませることにする。
【07時57分】
ベンチでちょいと休憩。ここでインナーに着ていた長袖のシャツを脱ぐ。思いの外天気が良くて気温も上がってきた。この時期は着るものの選択に困る。今回も出発のギリギリまで悩んでいた。長袖のシャツはウールの冬用と化繊の夏用を用意していた。この時は冬用を着ていたのでかなり汗をかいてしまった。これでファイントラックのスキンメッシュと厚手のソフトシェルだけになる。スキンメッシュは保温性は無いのでほぼアウター1枚ということになった。あとは前面のチャックの開閉で中の体温を調整した。
【08時06分】
10分ほど休憩して出発。本来のルートはアルプス公園の外側を通るけど、駐車場の脇にあった園内地図によると中を通っても行けそうなので中を通ることにした。ここで初めて地図に書かれたルートを意識的に外した。地図通り歩くことも大切なのかも知れないけど、今後は面白そうな所は積極的に寄り道していこうと思っている。
【08時07分】
まずは花の丘に登る。そこから山の神、養老坂へ抜けられる模様・・・。
【08時08分】
園内地図は駐車場の解説板の前に置いてあった。
【08時11分】
花の丘から振り返る。ついさっきまで向こうの住宅街を歩いていたのか・・・。
【08時12分】
花の丘の上には水場がある。いずれ何度か書くことになると思うけど、このトレイルは大網峠を挟んでコチラ側(長野側)は比較的水場に恵まれているのに対して、ムコウ側(新潟側)は水場が少ないように思う。
【08時13分】
丘の上にはトイレもある。ここの左側から・・・
【08時13分】
・・・山の神に向かう。
【08時14分】
地面には木のチップが撒かれていてフカフカして気持ちいい・・・。木の香りも落ち着く〜。
【08時15分】
オレンジの道と、木々の緑、空の青のコントラストが素晴らしく、思わず小走りしたくなるような道。120kmの全コースを通しても1位2位を争う気持ちのいいトレイルだった・・・。特にここまではずっと街中や住宅街の舗装路ばかりだったので気分的にも足腰にもリフレッシュ出来た。だけど、この道は長くは続かないんだよね〜・・・。
【08時18分】
十字路に出た。
【08時19分】
ここに山の神がある。
【08時20分】
とりあえずこの十字路を直進。
【08時20分】
やっぱりこういう道の方が落ち着くな〜。
【08時23分】
展望台がある、でも・・・
【08時23分】
・・・何も見えない・・・。
【08時24分】
東屋を越えると・・・
【08時26分】
・・・アルプス公園の北側の入口に出る。
【08時26分】
本来はこの道を通るはずだった・・・はず・・・。
【08時27分】
ここから養老坂に入る。公式マップにはここを避けるルートも点線で書かれているけど、あくまで実線優先なのでこの坂を下る。
【08時27分】
まぁ、実線優先だけど、この養老坂はかなり歴史が古いらしい。やはりイマの道より古の道を通りたいよね〜。
【08時30分】
そこそこ急な所もあったけど、ストックを出そうかどうか考えているうちにあっという間に下の道に出た。
【08時30分】
先に東屋がある。公式マップたとここを直進するようになっているけど・・・
【08時31分】
・・・何度確認してもこの先に道があるように思えない。
【08時31分】
あれれ? と思って下の道に戻る。と、その少し手前に細い踏跡らしきもの発見! 左上に下の道が見える。
養老坂を下って下の道に出たら、そこを越えたところで左側を見るとそこに道がある。
【08時33分】
少し進むと踏み跡がはっきりしてくる。
【08時36分】
道なりに下る。
【08時38分】
通る人も少ないんだろう、道が草で覆い尽くされているところもある。
【08時42分】
大きな道に出た。右下にトンネルのようなものが見えるけど、沢が流れているように見え、とても人が通れるとは思えない、しかし、公式マップには地下道をくぐるように書かれている。しばらくウロウロして普通に道に出ることにした・・・。